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新型コロナウイルスの影響で、就活が前代未聞の事態になっています。大規模イベントや外出、移動の自粛要請が強まり、WEBによる説明会や面接が当たり前になってきました。社員に会う機会が激減したのは就活生にとっては大きな痛手です。不安を募らせている人が多いと思いますが、ここは割り切って、今できる最善の策を考えましょう。「WEB就活」にはメリットもあります。移動の時間と交通費がかからないことです。時間に余裕ができた分、WEBでの企業研究を徹底的に深めるとともに、エントリーする会社を増やしてください。WEB就活だとミスマッチのリスクが高まるからです。その際には、BtoB(企業間取引)企業と中堅・中小企業にも目を向けること。企業も学生も手探りの就活です。今後も想定外の事態が起きるかもしれません。エントリー数を増やして、いざというときの選択肢を広げておくことが得策です。(編集長・木之本敬介)
(写真は、ネット経由の座談会。就活生同士も互いの顔が見られるようになっている=東京都千代田区)
(写真は、ネット経由の座談会。就活生同士も互いの顔が見られるようになっている=東京都千代田区)
トラブルのときこそ企業の素顔が見える
今年の就活は、3月1日の企業広報解禁と新型コロナの感染拡大が重なり、当初から合同企業説明会や学内説明会の多くが中止や延期になるなど、大混乱の中でスタートしました。ひと月近く経ちましたが、事態は落ち着くどころか悪化してしまいました。3月25日の小池百合子東京都知事による「外出・移動自粛要請」で、首都圏は「ロックダウン(都市の封鎖)」寸前の状態です。説明会や面接はますます開きづらくなりました。一気に普及したのが、WEB説明会やWEB面接です。すでに多くのみなさんが経験したと思います。人気企業のWEB説明会は、競争率が高くて予約が取りづらかったり、チャットで質問しても参加学生が多くて答えてもらえなかったりするケースもあるようですが、これはリアルな説明会でも同じですね。WEB面接では、電波の状況が悪くて途中で途切れたり、声が届かなかったり、トラブルもあるようですが、企業も学生も慣れていないのですからある程度はやむを得ません。トラブルの際の対処の仕方で企業の素顔が見えることもありません。逆にみなさんも見られています。戸惑っているのはあなただけではありません。慌てず落ち着いて対処しましょう。
(写真は、緊急記者会見で「感染爆発 重大局面」と示す東京都の小池百合子知事=2020年3月25日、東京都庁)
WEBで徹底的に企業研究
社員に会うのは本来、就活の「基本のき」です。2月21日のイチ押しニュース「合説・イベント中止で就活生がやるべきこと 出遅れ学生どうする?」では、この状況でもOB・OG訪問など社員に会う努力をしようと書きましたが、さらに難しくなってしまいました。そこで、今やるべきことをアドバイスします。WEB就活も悪いことばかりではありません。学生にとって最大のメリットは、説明会や面接にわざわざ出向かなくても済むことでしょう。就活でいちばんお金がかかるのは交通費だといわれます。地方の大学生や海外に留学中の人の場合、今までなら選択肢に入らなかった会社を受けられるようになるケースもあると思います。時間にも余裕ができます。できた時間を何にあてるか。社員に会えない分、WEBで徹底的に志望企業について研究してください。採用ホームページは隅から隅まで読み込むこと。どんな会社で、どんな社員がいるのかを知り、そこで働く自分を思い描いてみてください。企業本体のサイト(コーポレートサイト)にも目を通しましょう。さらに詳しい情報を得られます。志望度の高い企業については、上場企業ならIR(投資家向け)情報もオススメです。中でも、社長などトップのメッセージと「中期経営計画」は見逃さないでください。
なお、あさがくナビの合説「就職博」は、さほど大規模ではないこともあり、安全・衛生面に十分配慮したうえで、4月に東京、大阪、名古屋、福岡、京都で開催する予定です(3月27日現在)。
(写真は、ウェブサービス会社「スタジアム」のウェブ面接の画面=東京都港区)
BtoBと中堅中小に
さらに大事なのは、エントリーを増やすことです。今年の就活は社員に会う機会が限られる分、例年より会社の本当の姿や雰囲気が分からないまま内定を得る人が多くなるでしょう。すると、ミスマッチの可能性が高まります。この数年、「売り手市場」が続いたため、学生1人がエントリーする企業の数は平均1ケタに減ったといわれてきました。それでも私は「20社エントリーを目指せ」とアドバイスしてきましたが、今年の就活生には「30社以上にエントリーせよ」と言います。あくまで目安ですが、選考が進んだ段階、あるいは内定を得た段階でミスマッチに気付くことがあります。その際の選択肢を増やすためです。昨年までなら、説明会は1日に2社、面接のハシゴも2~3社が限度だったと思いますが、WEBならもっと増やせます。エントリーを増やす際に注意すべきことは、大手人気企業以外にも目を向けることです。中でも、BtoC(消費者向け)企業だけでなくBtoB(企業間取引)の企業、加えて、大企業だけでなく中堅・中小企業にもエントリーすることが就活成功の秘訣です。BtoB企業を知るには、いくつかの出版社が発行している「業界地図」が便利です。4000社以上の日本を代表する企業が掲載されていますが、その多くはBtoB企業です。
「合説・イベント中止で就活生がやるべきこと 出遅れ学生どうする?」でも書きましたが、あさがくナビなどの就活サイトにある「スカウト機能」など、企業側から学生にアクセスしてくるダイレクトリクルーティングも積極的に活用してください。企業側もみなさんとの接点を必死で求めています。まずは登録することです。
(写真は、WEB合同企業説明会の動画撮影をする社員ら=2020年3月19日、岡山市)
今年の就活は長期化?
新型コロナの影響がもう一つあります。今年の就活が長期化しそうなことです。当初は2020年卒よりも選考がかなり早期化するとみられていました。学情の企業2000社アンケートでは、今年の面接のピークは3~4月、ゴールデンウィーク前に内々定を出す予定の企業が大半でした。しかし、想定外の事態で、多くの会社が採用フローやスケジュールを変更しています。WEB面接で選考を進める企業でも、学生に一度も会わないまま採用を決める企業はあまりないでしょう。面接や内々定出しの時期が4~6月にずれ込む企業が多くなると思います。政府は新型コロナ問題での混乱を受けて、経済団体に対し就活生に「特段の配慮」をするよう要請。その中には「エントリーシートの提出期限の延長を積極的に検討」という項目もあります。これを受けて経団連も加盟企業に同様の要請をしました。
就活の長期化は必ずしも良いことではありませんが、出遅れた学生もまだまだチャンスがあるということです。WEBを駆使して、企業研究を深め、エントリーを広げてください。
(写真は、IT系企業のWEB説明会のPC画面。各社のプレゼンのスライドに加え、左上に担当者の顔が映し出された=2020年3月16日、松江市)
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