(写真は、消費増税を前に8%割引のセールを実施するドン・キホーテの店頭=9月12日、東京都渋谷区)
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(写真は、消費増税を前に8%割引のセールを実施するドン・キホーテの店頭=9月12日、東京都渋谷区)
どうして上げるの?
消費税は1989年に、少子高齢化で増える年金や医療、介護といった社会保障費の財源として導入されました。当初は3%でしたが、1997年に5%、2014年4月に8%にアップ。さらに2015年10月には10%に上げる予定でしたが、国民の抵抗感が強いことなどから、安倍首相は引き上げ時期を2度延期。国の借金返済に充てる予定だった増収分の一部を、幼児教育無償化や低所得世帯の高等教育無償化などに回すように変更したうえで、ついに引き上げに踏み切ります(図参照)。
なぜ消費税?
基幹3税のうち、なぜ消費税を上げるのでしょう? 所得税は給与をもらう会社員ら働き手が多く納めており、20~50代に負担が偏ります。法人税はグローバル化が進む中、企業を自国に呼び込もうと各国で引き下げ競争が起きていて日本も下げたばかり。これに対し、消費税は老いも若きも納めるので世代間の不公平が少なく、誰もが世話になる社会保障の財源としてふさわしいといわれます。生活必需品などにもあまねくかかるため、法人税より景気に左右されず税収が安定しています。これも社会保障の財源に適している点です。ただ、所得にかかわらず同じ税率のため、所得が少ない人ほど負担を重く感じる「逆進性」があります。毎日の買い物で支払うので、「痛税感」が強いともいわれます。
初導入の「軽減税率」って?
ややこしいのが外食です。原則は「レストランなどの店内で食べれば10%、持ち帰れば8%」ですが、コンビニで買ったものをイートインコーナーで飲食すると店内での外食扱いで10%、持ち帰れば8%と、線引きが微妙です。
このため、外食各社の対応は分かれています。モスバーガー、ガスト、バーミヤン、吉野家は、店内での飲食と持ち帰りを別々の価格にするため、同じ商品でも持ち帰りのほうが安くなります。一方、わかりやすさを重視して、店内と持ち帰りで税込み価格をそろえるチェーンも。ケンタッキー・フライド・チキンは1ピース250円のオリジナルチキンの価格を据え置きます。現在231円の税抜き価格を店内飲食に限って227円に引き下げ、店内外の税込み価格をそろえるわけです。すき家、松屋も主力の「牛丼」や「牛めし」の並盛りの税込み価格を維持します。マクドナルドも店内外の税込み価格をそろえますが、ハンバーガーやチーズバーガー、ハッピーセットなど全体の約3割の品目の税込み価格を値上げする一方、残る約7割のビッグマックやプレミアムローストコーヒーなどの税込み価格は据え置き、これらの店内飲食の価格は実質的に値下げされることになります。
ポイント還元
具体的には、経済産業省に登録された中小店舗で買い物をすると、5%分に相当するポイントが戻ってきます。たとえば、10%の消費税込み1100円の商品を買った場合、ポイントは55円分で実質負担額は1045円。税率8%の1080円より負担が減ります。コンビニやガソリンスタンドなど大手チェーンのフランチャイズ(FC)店だと還元率は2%です。政府がお金を出して、キャッシュレス限定、期間限定で、増税をなかったことにするわけですね。
ただ、この制度に参加できる店は全国に200万店ほどありますが、10月のスタート時に間に合う店は3割の59万店にとどまっているため、効果は未知数です。
ビジネスチャンス
消費増税がビジネスにどんな変化を与えるか、考えてみましょう。一つは軽減税率によって、持ち帰りと宅配、出前の「お得感」が増すことです。すでに、ガストなどでは自社でドライバーを確保して宅配を強化しています。飲食店の宅配代行サービス「ウーバーイーツ」と「出前館」への参加企業も増えているそうです。
もう一つ、恩恵を受けるのがキャッシュレスの関連業界です。日本は世界有数の「現金社会」で、諸外国に比べてキャッシュレス決済の普及が遅れています。今回のポイント還元には、キャッシュレス決済を広げようという政府の意図もあり、クレジットカードや電子マネー、QR決算などの関連企業は、自社の決済を広げようと目論んでいます。
もっと上がる!?
最後に、今後、消費税率はどうなるでしょうか? 安倍首相は、先の参院選の際に「今後10年間くらいは消費税を上げる必要はないと思う」と言いましたが、日本は国と地方の借金が1000兆円を超す「借金大国」。今回の消費増税では財政健全化はとてもできません。欧州には消費税率20%前後の国も多い中、専門家の中には「日本も欧州並みに」という声もあります。今後の議論にも注目してください。
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