2019年04月26日

どうなる新卒一括採用!? 通年採用、ジョブ型採用って?【イチ押しニュース】

テーマ:就活

 経済界と大学の代表が採用や就活についての共同提言をまとめました。今の「新卒一括採用」に加えて、「通年採用」など多様な採用形態に変えていくべきだという内容です。実は、大学教育のあり方や企業の終身雇用制度などの仕組みを、かなり根本的に変えていこうという大きな改革案なんですが、提言をサラッと読んでもよくわかりません。で、来年の就活はどうなるの? 新卒一括採用は続くの? みんな通年採用になるの? そんな疑問点を、わかりやすく解説します。(編集長・木之本敬介)

 就活ニュースペーパーは連休中お休みし、5月7日(火)から再開します。

(写真は、就活や採用について議論する経団連と大学の学長ら=4月22日、東京・大手町)

「新卒一括のみでは成長困難」

 提言をまとめたのは、大企業の集まりである経団連と大学の代表による「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」です。もう就活ルールを主導するのをやめると宣言した経団連が、大学側に呼びかけて今年1月から議論してきました。採用の中長期的なあり方をめぐっては、政府の未来投資会議も検討しています。今年の夏にまとめる成長戦略に盛り込む予定で、経団連と大学の提言が反映される見通しです。

 提言は、「これまでの新卒一括採用と企業内でのスキル養成を重視した雇用形態のみでは企業の持続可能な成長は困難」と指摘。「今後は、日本の長期にわたる雇用慣行となってきた新卒一括採用(メンバーシップ型採用)に加え、ジョブ型雇用を念頭に置いた採用(ジョブ型採用)も含め、学生個人の意志に応じた、複線的で多様な採用形態に、秩序をもって移行すべきである」としています。どういう意味でしょうか。

終身雇用、年功序列と3点セット

 まずは、この「新卒一括採用」について。新卒一括採用は、戦後の高度成長期に、いずれも日本独特のシステムである「終身雇用」「年功序列」と3点セットで定着しました。企業にとっては、年齢、学歴などが同じレベルの学生を、同時期にまとめて採用でき、研修・教育を一括して実施できるメリットがあります。学生は、仕事に役立つ具体的なスキルや実績は求められず、「将来の可能性」だけで採否が判断されるのが特徴です。仕事は入社後に研修や社内教育、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)などでゼロから教えてもらう仕組みです。日本の若者の失業率が低いのは、新卒一括採用のお陰でもあります。欧州には15~24歳の失業率が50%以上の国もあり、若者の失業率が大きな社会問題になっていますが、日本は3.6%(3月の完全失業率)です。

ジョブ型は中途採用中心

 しかし、グローバル化とデジタル化が進み、外部から専門性の高い人材を獲得しないと海外の企業との競争に勝てない時代になりました。経済同友会の桜田謙悟代表幹事(26日就任)は新卒一括採用について「個別企業の問題だが、やめた方がいい。原則はキャリア(中途)採用であるべきだ」「イノベーティブ(革新的)な国づくりや、元気な若者を生み出すことにマイナスに働いたのかもしれない」「5年後にキャリア採用が主流になっていないと日本経済は危ない」などと話しました。

 そこで、今回の提言に盛り込まれたのが「ジョブ型採用(雇用)」です。ジョブ型は、ITなどの専門技術を持つ人を通年で採用するやり方で、「AI人材、データ・サイエンティスト、高度な専門性を持つエンジニアフィンテック人材、商品開発、マーケティング人材等」が挙げられています。ジョブ型は欧米など海外で一般的な採用方法です。求められるのは「即戦力」ですから、スキルのない人は就職できません。このため、仕事にすぐ役立つことを大学で専攻しているか、企業などのインターンシップで経験を積んだ学生、あるいはすでに働いた経験がある人でないと採用されません。多くの学生はこんな専門技術を持っていませんから、ジョブ型の通年採用は中途採用が中心です。

来年の就活、もっと早まる?

 採用や雇用の仕組みを急に大きく変えると、社会は大混乱します。そこで、今回の提言では、これからも新卒一括採用を維持しつつ、専門的な人材の中途採用を拡大するとしました。大学での専門教育やキャリア教育の充実、企業の長期インターンシップにも積極的な姿勢を示しているため、数年後の学生はジョブ型通年採用の対象になるかもしれません。でも、今の学生のみなさんは、大学でIT系の専門技術を身に付けている人を除くと、当面は従来型の新卒一括採用のまま、ということになります。ファーストリテイリングのほか、ソフトバンク、楽天などIT企業を中心に、一般学生に対する通年採用を行う企業も増えてはいますが、まだまだ少数派です。

 来年の2021年卒採用のスケジュールはどうなるかというと、すでに政府がこれまでと同じ「説明会は3年生の3月、面接など選考は4年生の6月解禁」という今の日程を維持するよう企業に呼びかけています。しかし、「経団連指針」の縛りがなくなるのは企業にとっては大きく、今年よりもさらに早期化が進むのではないかといわれています。今年夏のインターンシップが事実上のスタートです。3年生から就活一色の学生生活を送る必要はありませんが、早めに準備を始めておくことをお勧めします。

(写真は、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」であいさつする経団連の中西宏明会長=4月22日、東京・大手町)

外国人留学生、留学経験者、大学院生を重視

 提言では、「多くの企業では、今後、グローバル化を進め、ダイバーシティーを意識して、外国人留学生や日本人海外留学経験者を積極的に採用する方向性である」「ジョブ型採用の割合が増大し、グローバルな企業活動が拡大する中で、大学院生の採用について、今後は拡大して積極的に採用する企業が増える方向である」と、外国人留学生、留学経験者、大学院生の採用拡大に触れています。

 今の就活スケジュールだと、大学3年の夏休みにインターンがあり、4年生になる前から就活本番が始まります。この日程を理由に、留学に二の足を踏んでいる人も多いと思います。まだ明確ではありませんが、提言が「複線的で多様な採用形態」を強調したうえで留学経験者採用についてもあえて触れていることから、春の一括採用の日程とは別に留学経験者を対象にした選考日程を設ける企業が増える可能性は高いと思います。留学を考えている人は、時期や期間についてキャリアセンターに相談してみましょう。

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