2013年07月02日

大企業の景況感アップ、ただし雇用は改善せず

テーマ:経済

ニュースのポイント

 日本銀行が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は大幅に改善し、景況感の回復が鮮明になりました。アベノミクス効果で消費が伸び、大企業には円安の恩恵が広がっています。ただ、中小企業や地方への波及は不十分で、雇用や賃金への広がりもまだ見えません。就活が楽になるなどと楽観してはいけませんよ。

 今日取り上げるのは、2面の「大企業、明るさ先取り/日銀6月短観 景況感プラス」です。
 記事の内容は――企業が足もとの景気をどう見ているかを示す日銀短観が大きく改善した。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」では客足が回復し客単価もアップ、JTBではゴールデンウイークに国内旅行者が増え、サービス産業などの「大企業・非製造業」の業況判断指数(DI)が大幅に上昇。特に外食を含む「宿泊・飲食サービス」は前回3月のマイナスからプラスに転じた。「大企業・製造業」は円安効果に沸き、自動車生産はトヨタ自動車、富士重工業など輸出比率が高いメーカーで高水準の生産が続く。海外メーカーとの価格競争で苦戦続きだった素材産業は輸出が増えただけでなく、安い輸入品が減って経営環境が改善した。東芝、ジャパンディスプレイなど大企業の一部には設備投資の動きも出始めた。ただし地方や中小企業の景況感は大幅なマイナスのまま。雇用の改善も進まず、大企業の2014年度の新規採用計画は3年ぶりに前年度比マイナスになった。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 日銀短観は、日本銀行が3、6、9、12月の年4回行う企業アンケートです。景気に対する見方など経営者の最新の判断が反映されることから経済指標の中でも注目度が高く、とくに企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が重視されます。DIは、景気が「良い」とする企業の割合から「悪い」とする企業の割合を引いた値で、好景気で経営が好転した企業が多ければプラス、逆ならマイナスになります。

 今回の日銀短観は、記事に付いている図表「6月の日銀短観のポイント」にわかりやすくまとめてあります。大企業・製造業のDIが1年9カ月ぶりにプラスとなり、大企業・非製造業もリーマン・ショック前の08年3月調査以来の高水準を記録。自動車、鉄鋼、電気機械などが大きく改善したことがわかります。ただし、みなさんの就活に直結する雇用に関しては、あまりよい数字が出ませんでした。従業員の過剰感を示すDIは、大企業・製造業が3ポイント低下して「不足」方向になる一方、非製造業は2ポイント上昇して8四半期ぶりに「過剰」方向になりました。

 日銀短観は3カ月に1回新聞に登場します。就活はみなさんが長く勤めようとする企業選びなので、こうした目先の数字に一喜一憂する必要はありません。ただし、就活でみなさんが目指す業界の最新動向です。これからは注目してみましょう。

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