2018年10月19日

NTT→健康、凸版→翻訳、パナ→介護 「朝日地球会議」参加企業の意外な取り組み【今週のイチ押しニュース】

テーマ:環境・エネルギー

 地球規模の課題について、国内外の専門家や政治家、企業・NPO関係者などが議論した「朝日地球会議2018」の特集記事が今週載りました。国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を通じて解決策を探ろうとする議論には多くの企業も参加しました。記事や広告紙面に載った企業のちょっと意外な取り組みを紹介します。企業研究に役立ててください。(編集長・木之本敬介)

 SDGsについては、「SDGs」知らないとヤバい!? 社会貢献との違いは?を読んでください。

(写真は、デンマークの沖合約21キロの北海にあるアンホルト洋上発電所=2016年9月、山家公雄さん撮影)

5000人が参加

 朝日地球会議は朝日新聞社が毎年開いている国際シンポジウムです。今年は「次世代への約束 もっと寛容な社会に」をテーマに9月24日から東京で開かれ、3日間でのべ約5000人が参加。ポピュリズムの台頭で危機に瀕する民主主義の課題や持続可能な社会の実現など幅広いテーマで議論が交わされました。

 朝日地球会議には以下の企業が関わっています。
【共催】テレビ朝日
【特別協賛】旭硝子財団、アデランス、イオン環境財団、NTN、NTTグループ、サントリーホールディングス、凸版印刷、トヨタ自動車、パナソニック、モニターデロイト
【協賛】エプソン販売、住友林業

(写真は、ツイッター上に寄せられた質問に答えるパネリストの〈左から〉トヨタ自動車パワートレーンカンパニーFC技術・開発部主査の小島康一さん、東京大学教養学部環境エネルギー科学特別部門客員准教授の松本真由美さん、産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所長の中岩勝さん=2018年9月26日、東京都千代田区)

燃料電池車と風力発電

 まずは直球の本業で参加した会社です。

トヨタ自動車 水素を使って発電し、モーターを回転させて走る燃料電池車(FCV)「ミライ」(写真=同社提供)を世界で初めて販売したトヨタは、「水素社会」の実現を目指しています。二酸化炭素(CO₂)を出さない「究極のクリーンエネルギー」といわれるのが水素。水を電気分解すればつくれますからほぼ無限に製造でき、貯蔵もできるため送電線がない場所にも運べるなど多くのメリットがありますが、水素ステーションなどインフラの整備は進んでいません。トヨタは、FCVをバスやトラック、フォークリフトのような産業車両にも広げるために、水素インフラや部品を開発する多くの企業が積極的に参加するよう呼びかけました。

NTN 俳優の多部未華子さんが出演する「なん~て~なめらか~」のテレビCMの会社です。世界では再生可能エネルギーの主役は風力発電。海に風車を設置する洋上風力発電は、巨大風車にできるため発電コストを下げられます。その風車を回すベアリングをつくっているのがNTN。風力発電機の異常をいち早く検知して稼働率を上げるシステムも開発しています。
 ベアリングは、あらゆる機械の回転部分を支え、摩擦を減らしてなめらかに回転させる部品で、自動車のほか鉄道車両、建設機械、工作機械、航空・宇宙分野のジェットエンジン、HDD(ハードディスク駆動装置)、CTスキャナー(コンピューター断層撮影装置)、人工心臓などさまざまな分野で使われています。NTNは、自動車のタイヤの回転を支えるハブベアリングで世界シェアトップ。エンジンやモーターの動力をタイヤに伝えるドライブシャフトは世界2位です。

働く現場や学校で

 凸版印刷は多言語翻訳に取り組んでいます。みなさんもアルバイト先などで使うことがあるかもしれませんね。

凸版印刷 訪日外国人旅行者に加え、日本で暮らす外国人就労者、技能実習生、留学生も増える中、日本語を正確に素早く訳し、専門用語にも対応する多言語翻訳に取り組んでいます。スマホで会話を聞き取り瞬時に音声で翻訳するアプリ「ボイスビズ」は、音声で11言語、テキストは30言語に対応。接客や外国人就労者とのコミュニケーションの現場で使われています。多くの国の子どもたちが学ぶ学校向けには、学校で使われる独特の語彙(ごい)を搭載した「ボイスビズフォースクール」があり、日本語を話せない保護者への家庭訪問などでも活躍しています。テキスト翻訳Webサービス「ジャパリンガル」は4言語に対応します。

AI、IoTで介護も健康も

 人工知能(AI) IoT(モノのインターネット)など、ICT(情報通信技術)を活用して社会の課題を解決する技術開発に取り組んでいる事例も紹介されました。

NTTドコモ AIを使った対話サービスを開発中。自動販売機に話しかけるだけで新幹線のチケットが買える、そんな機器の開発を目指しています。

NTT スマホなどの「音声認識」機能で、怒りや喜び、悲しみなどの感情も聞き取ることを目指しています。バリアフリーの分野では、車いす利用者がスマホに行きたい場所を告げると、階段や段差を避けてルートを案内するアプリを開発。健康診断の結果をAIが解析して生活習慣病のリスクを予測することにも取り組んでいます。

パナソニック お世話型の介護から、科学的データに基づいた自立支援型の介護への転換を目指しています。施設の部屋のエアコンの稼働状況などから、入居者の1日の動きや睡眠などのデータを集め、ケアプランに生かそうとしています。

アピアランスケア

 医療や健康のつながりから、もう1社。
アデランス 世界19カ国・地域で毛髪・美容・健康のウェルネス事業を展開しています。「アピアランス(外見)ケア」に取り組んでいて、病院内ヘアサロンを国内30店舗に加え、スウェーデンやドイツなど海外でも8店舗を運営しています。医療用ウィッグでQOL(生活の質)向上に貢献しています。

 紹介した事例は、会社の採用ホームページで最初に取り上げられるような事業ではないかもしれませんが、こうした取り組みから企業の方向性や社風を感じ取ることもできると思います。

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