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世界で株価が急落しました。米国で始まった株安は日本をはじめ各国に連鎖し、「世界同時株安」の様相です。いま世界の経済は比較的よい状況だとされているのに、どうして株価は急落したのでしょうか。世界はつながっていますから、みなさんの就職戦線にも大きな影響を及ぼします。この機会に、いま世界の経済で何が起きているのか、知っておきましょう。やさしく解説します。(編集長・木之本敬介)
(写真は、急落した日経平均株価などを示す株価ボード=10月11日、東京・日本橋)
(写真は、急落した日経平均株価などを示す株価ボード=10月11日、東京・日本橋)
何が起きた?
米ニューヨーク市場では10月初めまで、失業率低下など好景気を示す数字がいくつも出たことや、米国、カナダ、メキシコの貿易協定妥結を受けて、大企業のダウ工業株平均が連日のように過去最高値を更新していました。世界経済の中心である米国の株価の変動は、すぐ世界中に波及します。日本でも代表的な日経平均株価が急上昇し、10月2日には2万4200円台とバブル経済崩壊後の最高値圏になりました。ところが、米国の株価が3日をピークに急落し始めます。日本の株価も下がり、11日は日経平均が一時、前日比1000円以上値下がりし、終値は1カ月ぶりに2万3000円を下回りました。中国などアジア市場の株価も軒並み急落。欧州市場でも下がり、世界的な株安となりました。
「景気が良すぎる」から
景気が絶好調の米国で株価が下がった理由は、実は「景気が良すぎる」ことです。各国の中央銀行は、不況の時は民間銀行に貸し出す金利(政策金利)を下げ、消費者や企業がお金を借りやすくして消費や投資を促します。景気が過熱してインフレになりそうなときは金利を上げて物価の安定をめざします。米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は最近、金利を徐々に上げてきました。今回は好調な統計指標が相次いで公表されたため、FRBが景気過熱を抑えるため金利上昇のペースを上げるのではという見方が強まりました。これを見越して長期金利と呼ばれる市場金利が上昇。でも、急に金利が上がると企業の借金の負担を重くして経営が悪化しかねません。これまでIT企業を中心にまだまだ成長するという期待感もあって上がってきた株価ですが、期待がしぼんで株が売られたわけです。
「米中貿易戦争」も不安要因
世界株安のほかにも、世界経済の不安要因があります。最大のリスクといわれているのが「米中貿易戦争」です。米国のトランプ大統領(写真)は、中国との貿易による巨額の赤字を問題視していて、中国からの輸入品に次々に高い関税をかけています。中国も対抗措置をとっており、世界1位と2位の経済大国同士の貿易が滞り、両国の経済が悪化すれば、世界中の景気が冷え込むでしょう。さらに、来年3月に予定されている英国の欧州連合(EU)離脱交渉が難航しています。英・EUの関係がこじれれば、経済の混乱は必至です。経済規模がユーロ圏3位のイタリアの財政悪化も心配されています。
円相場を注視せよ
今回の世界株安をきっかけに世界経済が悪化に向かうのか、株価はまた上昇に転ずるのかは、まだ分かりません。ただ、就活生のみなさんにもう一つ注目してほしい指標があります。「円相場」です。世界経済の不安が高まると、「安全資産」とみられる円を買う投資家が多くなり、円が高くなります。円高になると輸出企業のもうけは減ります。日本には製品の輸出で稼いでいる企業が多いため、景気にはマイナスです。
米国や中国など各国の景気、経済情勢は、みなさんが志望する日本企業の業績を大きく左右します。当然、みなさんの就活にも影響します。世界の経済情勢を知ることが、業界・企業研究につながることもわかってもらえましたか?
円高・円安については、
◇面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ 「円安株高」「円高株安」なぜ? 仕組みを知ろう
を読んでみてください。
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