
(写真は、新型車を発表するトヨタ自動車の豊田章男社長)


29兆3795億円――。トヨタ自動車が2017年4月1日から2018年3月31日までにたたき出した日本一の「売上高」です。売上高をネットで検索すると、「企業が製品や商品、あるいはサービスを販売、提供した対価として顧客から受け取った代金のこと」などと解説されています。年間の売上高は「年商」とも呼ばれ、カイシャの大きさを示す代表的な指標です。業界のシェアを計算する際に使われるのも、通常はこの売上高です。
では、ここでクイズです。
★問題1:「トヨタ」ブランドの自動車は、2017年度に約29.4兆円売れた。
★問題2:トヨタ自動車グループには、2017年度に約29.4兆円が入金された。
「売上高29.4兆円」を表す文として正しいのはどちらでしょうか?
(写真は、トヨタ自動車の売上高を牽引したSUV「C-HR」)

続いて問題2です。ネット辞書の解説には「顧客から受け取った代金」とあるので、正解と思ったかもしれません。しかし、この部分、より正確に言い直すと「顧客から受けることが決まった代金」なのです。
たとえば、トヨタ自動車グループが2018年3月の1カ月間に、2兆円分の新車を売ったとしましょう。3月中に陸運局で登録されてナンバーが付けば、全額が3月の売上高としてカウントされるはずです。ただし、その代金がすべて3月中に回収できるとは限りません。一般的に企業同士の取引では、納品から入金まで数カ月を要することも珍しくありません。「売上高=入金額」とは限らないのです。
決算は黒字でも、入金が大幅に遅れたり多額の出金があったりすると資金が足りなくなり、カイシャがつぶれてしまうこともあります。これを「黒字倒産」と呼びます。売上高や利益だけからは予測できないので、別の数字をウォッチする必要がありますが、そのことはいずれ触れたいと思います。
どうです、わかりましたか? 経済学や経営学を勉強した方には、簡単すぎたでしょうか。次回は「利益」について解説します。
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2025/12/04 更新
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