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(写真は、東京証券取引所の株式上場セレモニーで鐘を鳴らすメルカリの山田進太郎会長兼最高経営責任者〈CEO〉=2018年6月19日)
Key Figure#16 株価
企業の多くは「株式会社」です。起業家は株式を発行してお金を集め、機械などの設備投資に回したり、日々の活動に必要な運転資金に充てたりします。起業当初は、有力なスポンサーでもいない限り、株を買う人(株主)は起業家自身やその仲間、家族などに限られることが多いでしょう。やがてカイシャが軌道に乗り、事業拡大のためさらにお金が必要になってくると、取引先や金融機関などに株主になってもらい、新たに資金を調達します。これを「増資」といいます。
とはいえ、周囲に頼っているだけでは、お金を集めるにも限界があります。そこで、一般の投資家にも買ってもらえるよう、証券取引所で株式を取引できるようにすることを「上場」といいます。業績や経営基盤、将来の見通しなど取引所の基準を満たし、審査に合格しないと上場できないので、上場企業は「社会から一定の信頼を得たカイシャ」とみなされます。今年6月19日、フリーマーケットアプリ大手のメルカリが新興企業向け市場の「東証マザーズ」に株式を上場しました。午前9時の取引開始から買い注文が殺到し、株価は制限値幅いっぱいの6000円まで値上がりした後、終値5300円でこの日の取引を終えました。この株式上場で約630億円を調達したメルカリは、「人材採用、海外事業、技術開発に重点投資する」(山田進太郎会長)そうです。
(写真は、メルカリの初値5000円を知らせるボード。買い注文が殺到したため、2時間以上、値がつかなかった)
Key Figure#17 時価総額
このように株式を発行して調達したお金は、銀行などからの借入金とは違って、返済する必要がありません。前々回、前回で紹介した貸借対照表(バランスシート)の「純資産」に繰り入れられ、企業の健全性を示す「自己資本比率」を高める効果があります。
企業にとって株価は、市場による「通信簿」のようなものですから、高いに越したことはありません。それは企業防衛という観点からも当てはまります。もし、ある企業を買収しようと考えたとき、理論上は発行済み株式の過半数を手に入れれば経営を支配することが可能になりますが、その際に必要になるお金は株価により変動します。株価が高い企業ほど、買収するには多くのお金が必要になるわけです。つまり、高い株価を維持することは、買収を避けるという点からも意味のあることなのです。
発行済み株式数に株価を掛けた数値を時価総額 といいます。その企業の全株式を市場で買ったらいくらかかるかを示しており、企業の市場価値を表す指標です。メルカリの時価総額は、上場日の終値ベースで7172億円に達し、ミクシィを抜いて一気に東証マザーズ首位に躍り出ました。
市場評価の目安として
ただし、株価は水物です。メルカリ株の8月6日の終値は4505円。上場日より15%低い水準になっています。この間、特に悪いニュースがあったわけではないようですが、一部の大株主が売却して利益を確定する動きが出ています。
株式投資は、企業の将来性に対する投資です。したがって株価は、過去の業績よりも将来の業績予想と連動する傾向が強く、その企業や業界に関連するニュースにも敏感に反応します。上場企業がIR(投資家向け広報)に力を入れるゆえんです。
就活生のみなさんが日々の株価に一喜一憂する必要はありませんが、その企業が市場からどういう評価を受けているかの目安にはなります。インターネットで長期的なトレンドを見たり、ライバル社と比較したりすると、思わぬ発見があるかもしれません。
(写真は、東京証券取引所)
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