ハイヒールから着想
余談ですが、機首のデザインは、ホンダジェットを手がける子会社ホンダ・エアクラフト・カンパニーの藤野道格(みちまさ)社長(写真)がハワイの免税店に飾られていた高級ブランド「サルヴァトーレ・フェラガモ」のハイヒールを見てひらめいたそうです。「美しさと人間工学を両立させている」と感動し、機体の形状に生かして空気抵抗を低減しました。
「市場規模2倍に」
国内では新幹線などの高速交通網が整備されていることもありますが、ビジネスジェット向けの施設整備が進んでいない事情もありました。ただ、羽田空港でビジネスジェットの優先順位が引き上げられたほか、専用ターミナルの整備などが進み、84空港で離着陸が可能です。地方の空港から中国へも行けます。藤野社長は「国内の市場規模を4~5年で2倍にしたい」と意気込みを語っています。欧米に比べるとまだ小さいアジア市場も中国を中心に間違いなく伸びるでしょう。
(写真はいずれもホンダジェット=ホンダ提供)
「ホンダらしさ」って?
二輪車メーカーとしてスタートしたホンダはこれまで、世界で累計1億台を売った小型バイク「スーパーカブ」、世界一厳しい米国の排ガス規制をクリアした「シビック」など、画期的な製品を出してきました。最近では軽自動車「N-BOX」はヒットしていますが、世界を驚かすような「ホンダらしさ」が薄れたとも指摘されます。復帰した自動車レースF1の戦績も低迷しています。
そんな中でのホンダジェットの国内販売には、ブランドイメージアップという狙いもあります。八郷隆弘社長は発表の記者会見で「ホンダの本社がある日本に絶対にもっていきたかった。チャレンジしている姿を見せたいという思いもあった」と語りました。
(写真は、1958年発売の初代スーパーカブ=ホンダ提供)
移動手段を提供する会社
「ホンダはもうすでに、単なる自動車メーカーではありません。パーソナルモビリティー、個人の移動手段を提供してサービスする会社だと思っています。主力は自動車だが、二輪もある、ロボットの『アシモ』(写真=ホンダ提供)もある、『ホンダジェット』というジェット機もある。本田技研工業が正式社名ですが、ローマ字でHONDAとしたいくらい。でも、自動車とは入れません」
トヨタの豊田章男社長は今年1月、米ラスベガスで開かれた家電・技術見本市CESで「車をつくる会社からモビリティーの会社へ変えることが私の目標」と宣言しましたが、ホンダはこの考え方をかなり先取りしていたことがわかります。トップの言動や新製品をきっかけに企業について調べれば、方向性や社風を感じ取ることができます。
・トヨタが移動サービスの会社に変身!? 変われる企業の強さ【2018年1月12日のイチ押しニュース】
商社がパートナー
(写真は、ホンダジェット日本販売の記者会見後に撮影に応じるホンダの八郷社長=左から2人目=、丸紅の氏家俊明常務執行役員=右から2人目=ら=東京都港区)
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2023/11/29 更新
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