(写真は、5月31日、働き方改革関連法案の採決が行われた衆議院本会議で起立する安倍晋三首相=後列左=ら)
(写真は、5月31日、働き方改革関連法案の採決が行われた衆議院本会議で起立する安倍晋三首相=後列左=ら)
Key Figure#1 月平均の残業時間
まずは棒グラフを見てみましょう。厚生労働省が、2018年3月の月平均所定外労働時間、つまりは残業時間を業界別に集計したものです。突出しているのは「運輸業、郵便業」の23.6時間。ネットショッピングの急成長で宅配荷物が増え、ドライバーが長時間残業で疲弊しているというニュースは、記憶に新しいことでしょう。
企業が守らなければならない労働条件の最低基準を定めた労働基準法では、1日の労働時間は8時間。ただし、経営側と労働者側が協定(同法36条に基づくことから通称「36〈サブロク〉協定」)を結べば、残業や早出をすることができます。その残業時間にはこれまで上限が事実上ありませんでしたが、働き方改革法が成立すると、忙しい月でも100時間未満に規制されます。一般的な「過労死ライン」の月80時間より長いとはいえ、一歩前進といえるでしょう。
この月平均の残業時間を就活生に公表する動きが出ています。2016年3月に施行された若者雇用促進法で、企業が情報提供すべき12項目の一つに選ばれたからです。あるIT企業は「あさがくナビ」で、前年度の月平均所定外労働時間を15.3時間とするなど、12項目すべてを公表しています。
Key Figure#2 有給休暇の取得日数
若者雇用促進法で情報提供すべきとされた項目には、有給休暇の平均取得日数もあります。先のIT企業は前年度平均10.4日。棒グラフで示した厚生労働省調査による情報通信業の年平均が11.2日ですから、まずまずといったところでしょうか。
若くて元気なうちは、有給休暇の使い道はもっぱら旅行やレジャーでしょうが、年齢とともに自身の病気や家族の看護など「やむなく取る休暇」が増えていきます。有給休暇が実際に取れるかどうかは、ワーク・ライフ・バランスを考える上でも重要な指標です。
数字からは見えない部分も
「ブラック企業かどうかは、数字からわからないことも多いのです」と話すのは、女子学生向け就活サイト「Will活」で「ナツホさんの就活女子道」を連載中の行政書士、本多夏帆さん。「例えばメールの返信が深夜や週末に来ていないか、内定受諾の返事を性急に迫ってこないかといった点に注意する必要があります」とアドバイスします。
本多さんと共同で事務所を開く社会保険労務士の池田光代さんもこう言います。「内定の承諾書に『辞退した場合は損害賠償を求める』と書いてあったり、口頭で『あなたを採用するのにこんなにお金がかかった』などと圧迫したりする企業もあります。例えば企業のお金で資格を取ったり海外研修に参加したりした後に内定辞退した場合は、問題になることもありますが、多くの場合は賠償する必要はありません。まずは承諾書など書面の内容をきちんと確認するようにしましょう」
数字を見る目だけでなく、圧迫に負けない知識と身構えも必要なようです。
(写真は、就活相談などに応じている行政書士の本多夏帆さん)
2021/01/23 更新
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