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きょう6月1日、大手企業の面接が解禁になりました。この就活日程を定めている「経団連(けいだんれん)」(日本経済団体連合会)の新会長に、日立製作所の中西宏明会長が就任しました。経団連には、就職人気ランキング上位の有名大企業が名を連ねています。みなさんの就活にも深く関わる経団連って、どんな団体なんでしょう?(編集長・木之本敬介)
(写真は、経団連総会で新会長に選出された中西宏明新会長=左=と退任する榊原定征氏=5月31日、東京の経団連会館)
(写真は、経団連総会で新会長に選出された中西宏明新会長=左=と退任する榊原定征氏=5月31日、東京の経団連会館)
「財界総理」
経団連は、自動車、鉄鋼、商社、銀行など日本を代表する大手企業を中心に、1376社が加盟する経済団体です。企業に有利な税制や規制緩和など、経済界の意見や政策要望をとりまとめて政府に働きかけたり、注文をつけたりしています。経済団体には、中小企業の集まり「日本商工会議所(日商=にっしょう)」、経営者が個人で参加する「経済同友会」もありますが、もっとも影響力がある経団連は「財界の総本山(そうほんざん)」と呼ばれ、会長は財界を代表して政治家や海外の首脳とも会談するため「財界総理」とも呼ばれます。歴代会長は表を見てください。中西氏までの14人中12人がメーカー出身。電機業界では東芝から2人が会長になる一方、日立は距離を置いてきましたが、不正会計問題で経営危機に陥った東芝に替わってお鉢が回ってきた形です。副会長は、日本生命、三菱UFJ銀行、三菱重工業、住友化学、三井物産、日本郵船、東京ガス、三菱商事、三越伊勢丹ホールディングス、三井住友フィナンシャルグループ、大成建設、新日鉄住金、三菱電機、トヨタ自動車、東京海上HD、JR東日本、ANAホールディングス、JXTGエネルギー――の社長経営者ら18人。自動車、鉄鋼、商社、金融などのそうそうたる顔ぶれが並びます。
「Society5.0」
経団連と政治との距離感は時代によって変化してきましたが、榊原定征(さだゆき)前会長時代は安倍政権と蜜月の関係でした。中西新会長は政府との協調路線を引き継ぐとみられていますが、5月31日の総会では「政府・与党に忌憚(きたん)なくものを申す『提案型』の会長として職責を果たしたい」と抱負を語りました。中西会長が力を入れると言っているのが「Society(ソサエティー)5.0」です。ビッグデータやAI(人工知能)、ロボットなどの新技術を使って新産業を生み出し、社会問題の解決をめざす構想です。日立は政府が推進する原子力発電輸出の中核企業でもあります。中西会長の言動が日本の経済の行方に大きな影響を与えるかもしれません。
「生団連」に「新経連」
メーカーなど「重厚長大型産業」中心の経団連に対しては、「オールドエコノミーの集団」「衰退する日本の象徴」と皮肉る声もあります。サービス産業の比率が高まる中、2011年にスーパーや外食など約550社・団体が加盟する「国民生活産業・消費者団体連合会」(生団連)が発足し、2012年には楽天の三木谷浩史会長兼社長(写真)がIT系企業の集まり「新経済連盟」(新経連)を立ち上げました。自分の志望企業がどの団体に属しているか調べてみましょう。団体のサイトには方針や政策提言、活動記録などが載っています。企業研究に役立ててください。2021卒採用は?
さて、就活の話です。「大学3年の3月、企業広報解禁」「4年生の6月、面接解禁」のスケジュールを指針で定めたのが経団連。加盟社だけでなく、すべての企業に守るよう呼びかけていますが、強制力や罰則はなく形骸化しているのが実態です。学生優位の「売り手市場」が進み、優秀な学生の争奪戦が激しくなっているためで、今年は5月中に半数の学生が内々定をもらったという調査結果も出ました。経団連加盟企業の中にも5月中に内々定を出した企業が多くある一方、事実上の面接を進めたうえで6月1日は最終的な意思確認のための形だけの面接で即内々定を出すところ、指針通り本当に1日から面接を始める会社と様々です。
就活生は振り回されっぱなしですが、企業ごとのスケジュールに合わせて対応するしかありません。今の3年生の2020年卒採用は同じ日程で行うことが決まっていますが、選考時期が東京五輪・パラリンピックと重なる2021年卒採用については、もっと前倒しされるなど抜本的な見直しがあるかもしれません。今秋には方向性が打ち出されると思います。今後のニュースに注目してください。
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