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企業の決算発表がおおむね出そろいました。好業績の企業が多く、過去最高の売上高や利益を記録する企業が続出しています。決算は直近1年間の業績ですから、その企業の今を知ることができます。今日は朝日新聞で報じた決算の話題を集めました。志望企業の決算は自分で検索して調べてください。面接で語れる材料がたくさんあるはずです。(編集長・木之本敬介)
(写真は、決算発表の報道資料を棚に入れる企業の担当者ら=11日、東京都中央区の東京証券取引所)
(写真は、決算発表の報道資料を棚に入れる企業の担当者ら=11日、東京都中央区の東京証券取引所)
「決算」って?
決算は、企業が一定期間の経営成績や財政状態をまとめて、いくらお金を使って、いくらもうけたか、財産の状況はどうなっているのかを明らかにする手続きのことです。法律で1年に1回は行うことになっていて、日本ではお役所に合わせて4月から翌年3月を会計年度とする「3月期決算」の企業が多いため、今の時期に発表が集中します。この年間決算のほかに、株式を公開している上場企業は3カ月に1回の四半期決算も公表しています。
輸出企業が絶好調
東京証券取引所第1部上場企業の2018年3月期決算(推計値含む)をSMBC日興証券が集計しました。それによると、売上高は前年比6.1%増の500.7兆円、本業のもうけを示す営業利益(損益)は12.4%増の37.8兆円、最終的なもうけを示す純利益(純損益)は27.8%増の30兆円となる見込みで、いずれも過去最高を更新しそうです。好調の要因は、
①円相場が輸出に有利な円安傾向が続いた(前年より円安ドル高の1ドル=110円前後)
②米国、中国の好景気
③米トランプ政権が実施した法人税減税
などで、自動車、電機、機械などの輸出関連企業が絶好調です。ホンダは純利益が前年より7割増え、1兆円を超えました。「純利益1兆円超」は、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソフトバンクグループに次いで国内4社目です。
このほか、中国ではシルクロード経済圏構想「一帯一路」に向けてインフラ投資が活発になり、コマツなどの建設機械がよく売れました。訪日外国人客が増え、化粧品の「爆買い」でコーセーの売上高は5期連続で過去最高を更新しています。
ソニー、任天堂、コナミ…
朝日新聞の記事から、好調な企業の話題をピックアップします。【ソニー】営業利益が前年の2.5倍の7348億円で20年ぶりに過去最高を更新。純利益も6.7倍の4907億円と10年ぶりに最高益を塗り替えた。売上高は前年比12.4%増の8兆5439億円でピークの2008年3月期に次ぐ水準。「プレイステーション4」のゲームソフトや、他社製スマホにも載る半導体部品の画像センサーがよく売れ、音楽の定額制サービス向け配信も好調。ソニー生命保険も契約高を伸ばした。
【任天堂】家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のヒットで業績がV字回復。売上高が前年の2倍で7年ぶりに1兆円超、営業利益も6倍に。
【コナミ】ワールドカップ・ロシア大会を控えサッカーゲーム「ウイニングイレブン」の販売が絶好調で、純利益が305億円と過去最高を更新。発売開始からシリーズ販売累計で1億本を超える看板ソフトで、昨年5月にはスマホ版提供も始め、今年に入って1億ダウンロードを達成した。
【JR東海】売上高が前年比3.7%増の1兆8220億円、純利益が0.7%増の3955億円。いずれも6年連続で過去最高を更新。主力の東海道新幹線の利用がビジネス、観光ともに好調だった。
【大和ハウス工業】売上高が前年比8.1%増の3兆7955億円、純利益が17.2%増の2363億円で2年連続の過去最高益。賃貸住宅やネット通販拡大を支える物流施設、ホテルの建設が好調だった。
【ダイキン工業】純利益が前年比22.8%増の1890億円となり、5年連続の過去最高益。猛暑で国内でのエアコン販売台数が好調だったほか、海外でも販売が伸びた。米国の法人減税も追い風に。海外での売上高は全体の75%に達した。
【TOTO】売上高が4.4%増の5923億円、営業利益が10.9%増の526億円といずれも過去最高。温水洗浄便座「ウォシュレット」が中国、アジア、北米など海外で大きく伸びた。
苦境脱出?
苦境にあった大手2社はどん底を抜け出しました。
【シャープ】台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った効果が出て業績が回復、純損益が702億円の黒字に。前年は258億円の赤字で黒字は4年ぶり。鴻海の販売網の活用が進み、海外のテレビの販売台数は前年の2倍に。スマホやタブレットの液晶パネルの販売も好調。
【東芝】純損益が8040億円の黒字。前年の9656億円の赤字から4年ぶりの黒字転換で、7年ぶりに最高益を更新。借金が資産総額を上回る債務超過も1年3カ月ぶりに解消した。
こんなブームも
就活生に人気の食品メーカーでは、こんなブームがありました。【ハウス食品グループ】営業利益が前年比32.3%増の162億円となり23年ぶりに最高を更新。売上高は2.8%増の2918億円で3年連続過去最高を更新。昨年春に加工用のジャガイモが不足した「ポテチショック」の影響で、ポテトチップスが占めていた売り場の棚が空いたスーパーなどから注文が相次ぎ、スナック菓子の「とんがりコーン」(写真)の売り上げが13%増える特需があった。
【森永乳業】アイスクリームの売り上げが好調。「PARM(パルム)」「MOW(モウ)」「ピノ」の主力3商品の売り上げはいずれも前年を上回り、アイスクリーム部門全体では前年比4%増だった。好調なのは冬の消費量が増えたため。クリスマスやバレンタインでの販売促進に力をいれた。売上高は前年とほぼ横ばいの5920億円。純利益は約2割増の157億円だった。
【極洋】売上高が7.7%増の2547億円となり過去最高を更新。昨年、マツコ・デラックスさんが出演するテレビ番組で様々なサバ缶が紹介されたのがきっかけでサバ缶ブームに。水煮やみそ煮、トマトで煮込んだ「さばのトマトパッツァ」などサバ缶全体の販売量は前年より30%伸びた。
自動車業界の決算と業界の構図については、一色清の業界研究ニュース「好調いつまで? 巨大産業・自動車業界の基本のき」でも取り上げました。読んでみてください。
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2024/11/22 更新
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