2018年03月23日

「東京ミッドタウン日比谷」開業へ!街づくりの仕事って?【今週のイチ押しニュース】

テーマ:経済

 東京のど真ん中に新しい「街」が誕生します。三井不動産が手がけ、29日に開業する35階建ての複合施設「東京ミッドタウン日比谷」です。日比谷公園の向かいで、日生劇場、東京宝塚劇場、帝国ホテルが並ぶ一角。皇居に近く、かつて鹿鳴館もあった由緒ある場所にふさわしい新しい街を構想し、テナント誘致、オープニングイベントまで……。十数年かけてゼロから街をつくりあげたディベロッパーの仕事のやりがいを考えます。(編集長・木之本敬介)

(写真は、建設中の「東京ミッドタウン日比谷」。東宝の象徴・ゴジラ像の前で建設が進んだ=2016年12月3日)

6人のチームでの決定事項は数千!

 東京ミッドタウン日比谷は、2007年に開業した六本木駅近くの「東京ミッドタウン」(住所は港区赤坂)に続き2カ所目のミッドタウン。地下1階から地上7階までが商業施設で、11スクリーンを有するシネコンや飲食店など60テナントが入り、11階以上の高層階はオフィスフロアです。

 2016年7月から10月にかけて朝日新聞生活面に載った「都市開発」という連載記事から、現場で中心となる三井不動産場プロジェクトマネジャーの仕事を紹介すると――。
 計画が動き出したのは2005年。6人のチームでビルのコンセプトを決め、デザインコンペをして建物の全体像を決め、ゼネコンに発注しました。ビルに隣接する3600平方メートルの広場にこだわり、広場に植える樹木選びもチームの仕事。上質感を出すため細部にこだわり、ひさしの裏のアルミの模様やエレベーターの扉に使う部材まで、一つひとつ関係者と協議して決めました。決定事項は数千項目にのぼるといいます。
 さらに、広場のスペース確保のため千代田区と協議して区道の位置をずらし、日比谷駅と直結させるため東京メトロとの協議も必要でした。

レストラン誘致の仕事、過酷な面も

 飲食店三十数店を担当した女性社員の仕事も大変です。「ゆったりと、上質な」というコンセプトにぴったりの日本食やイタリアンのお店をピックアップし、候補を絞って店のオーナーと出店交渉をしてきました。
 様々な店を知らないといけないため、週に3~4日は気になった店に実際に行って味や接客、雰囲気をチェック。全国各地、ときには海外の店まで足を運ぶそうです。うらやましい仕事に思えますが、現実は過酷で、胃が疲れていても3日続けて上司や同僚とフルコースのディナーを食べ、1軒のラーメン屋で3杯食べたり、1日5軒はしごしたり。「ほとんどフードファイター。体調管理も仕事なので、週末は走っています」と話していました。

(写真は、東京ミッドタウン日比谷の「パークビューガーデン」にあるレストランのテラス席)

「人事のホンネ」でやりがい知って

 ほかにも東京都心の大規模再開発が各地で進んでいます。主なものを紹介します。
◆三菱地所 JR東京駅北に高さ390メートルの日本一高いビルを含む高層オフィスビルを含む計4棟を建設中。2027年度完成予定。7000平方メートルの広場も整備する計画
◆JR東日本など 2027年のリニア新幹線開業を見越して、品川駅周辺を再開発中。駅に隣接する車両基地跡に新駅をつくり、ホテルなど高層ビルを建てる計画
◆東急電鉄、JR東日本、東京メトロなど 渋谷駅周辺再開発。駅ビルは東棟が2019年度中、中央棟と西棟は2027年完成予定

 すでに完成したものでは、三菱地所の「丸ビル」「新丸ビル」、三井不動産の「東京ミッドタウン」「COREDO(コレド)日本橋」「COREDO室町」、森ビルの「六本木ヒルズ」「虎ノ門ヒルズ」などがあります。ディベロッパーを志望する人は何度でも足を運んで、語れるようにしておいてくださいね。

 「人事のホンネ」ではこれまで、三菱地所三井不動産の採用担当者にじっくりインタビューしています。ディベロッパーの仕事の魅力をたくさん語ってくれていますよ。

(写真は、東京ミッドタウン日比谷の商業フロア。1階~3階が吹き抜けとなっている)

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