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「このあいだのスーパームーン、見れた?」「見られた?」――どちらを使いますか? 「見れた」の人が多いのではないかと思いますが、これ、「ら抜き」言葉といって、従来は「見られた」が正しい表現だとされてきました。今年の調査で「見れた」派が初めて多数派になったので、いずれこちらが「正しい」日本語になるかもしれません。ただ、採用のESや面接では、まだまだ「ら抜き」はNGだと思います。気をつけてくださいね。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、オピニオン面(19面)の「ことばの広場 校閲センターから/言葉の変化㊦ 相手に違和感を与えない?」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
「ら抜き」言葉って?
学生のみなさんと話しているときはもちろん、テレビのスポーツ選手のコメントや街頭インタビューでも「ら抜き」を毎日のように耳にします。テレビの画面の字幕では、必ず「食べれる」は「食べられる」に修正されて流されています。知っていましたか?
「ら抜き」言葉とは、動詞に可能の助動詞「られる」がついた「食べられる」「出られる」「見られる」などから「ら」を抜いた言い方のこと。1995年の国語審議会(現在は文化審議会国語分科会)で「改まった場での使用は現時点では認知しかねる」とするなど「乱れた日本語」とされてきました。
「見れる」「出れる」が多数派に
ところが、文化庁が毎年実施する
「国語に関する世論調査」の最新の結果で、「今年は日の出が見れた」を使うと答えた人が「見られた」を初めて上回りました(表参照)。中でも10代(16~19歳)は8割近くが「見れる」派。「出れる」も10~20代の6割以上が使っていました。
こうなると、もうどちらが「正しい」のかわかりませんよね。「られる」には他にも「尊敬・受け身・自発」の意味がありますから、「ら」を抜くことで「可能」の意味だとわかりやすくなるという意見もあります。
文章や改まった場では……
ただし、採用試験では注意が必要です。
今日の記事で大阪大学の岡島昭浩教授(国語学)は「『言葉は変化するものだ』と主張する人がいるが、違和感のある人が現にいる状況と、そうでない状況とを区別すべきだ」と言い、記事を書いた校閲記者も「『ら抜き』の場合、文章や改まった場での発言では使わない方が、好印象を得られるはず」と指摘しています。
ESや面接は「文章や改まった場」にあたります。言葉の使い方や表現から受ける印象は、世代によって大きく異なります。企業の採用担当者や面接官には、みなさんより少し年上の若手社員もいるでしょうが、幹部や役員など年配の社員も必ず関わります。ESや面接で「ら抜き」に出合ったら、「違和感」を感じる人も多いのが現実です。
ESは他人に読んでもらおう
面接ではついつい口をついて出てしまうことがあるかもしれませんが、即アウトという会社はないでしょうから気にしすぎなくてもいいと思います。ただし、ESは事前にチェックできます。自分で気をつけるだけでなく、提出前に必ず誰かに読んでもらいましょう。「ら抜き」だけでなく、自分では見落とした誤字脱字や敬語の誤用などにも気づいてもらえるでしょう。
間違えたくない人は、「られる」を使わず「できる」を使う手もあります。「見ることができる」「食べることができる」とすれば、少し長くなりますが、誤解は生じません。
「ら抜き」言葉については、「ことばマイスター ナカハラハラハラ」でも詳しく書いています。このコーナーには、就活生が気をつけるべき言葉遣いなどについてたくさんのアドバイスが載っています。下のリンクから入れます。ぜひ読んでみてください。
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