ニュースのポイント
清涼飲料国内首位のコカ・コーラグループと4位のキリンホールディングス(HD)が、資本業務提携に向けて協議していることがわかりました。人口減で市場が伸び悩むなか、激しい価格競争で利益が上がらないため、提携でコストを減らす狙いです。今日の記事には、清涼飲料業界の現状と課題が詰まっています。こうした業界まとめ記事で企業研究を深めれば、一歩リードできますよ。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、経済面(7面)の「コカ・コーラとキリン 資本業務提携へ/清涼飲料 進む再編/コスト減で体質強化/年900の新商品・特売品で値崩れ」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。
「群雄割拠」の清涼飲料業界
まずは清涼飲料業界の構図を理解しましょう。国内市場は5兆円規模ありますが、アサヒとキリンの大手2社でシェア7割超を占めるビール業界とは異なり、首位のコカ・コーラでもシェア3割に届きません。多くの企業が「
群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)」状態で激しい価格競争を繰り広げています。このため、なかなか利益を上げられなくなっています。
清涼飲料業界の各社のシェアと近年の提携や買収の動きは、上の
図を見てください。これまでは、自販機事業など販売面での協力が中心でしたが、今回コカ・コーラとキリンの提携は、店舗や自動販売機に共同で商品を運んだり、果汁やコーヒー豆などの原料やペットボトルの材料などを一緒に調達したりして費用を抑えるのが狙い。シェア争いで売り上げを上げるより、コストを減らして利益を確保しようという動きです。
(写真は、各社のシェア争うが激しい自販機)
新商品、年に900!
今日の記事には、コンビニとスーパーなど販売現場の現状と課題が描かれています。簡単にまとめます。
◆コンビニ
コンビニは1店舗あたりの売り場スペースが限られるため、商品の入れ替わりが早い。毎年900の新商品が登場するが、翌年まで残るのは一握り。新商品を次々投入するが、売れ行きの悪い商品は3週間で外される。メーカーの開発コストがかさむ。
◆スーパーやドラッグストアなど量販店
1.5リットル以上の大きなペットボトルが集客のための特売品にされやすく、値崩れして利益が出にくい状況。
飲料や食品業界は、身近で分かりやすい商品をつくっているため、学生に人気です。ただ、新商品開発、PRなどの華やかな側面だけでなく、販売現場ではこんな「消耗戦」が繰り広げられている現実も知っておくことが大切です。
(写真は、商品の入れ替えが早いコンビニの清涼飲料コーナー)
業界まとめ記事で企業研究
今日の総合面(4面)には、「日本の総人口 初減少/15年国勢調査/1億2709万4745人」が載っています。5年ごとの国勢調査で、外国人も含む総人口が初めて減少に転じたというニュースです。飲料市場が縮小するのは確実ですから、今回の提携を呼び水に、清涼飲料業界でさらに合従連衡(がっしょうれんこう)が進む可能性もあります。今後も注目していてください。
人口減はあらゆる業界に影響を及ぼしますし、新聞にはさまざまな業界のまとめ記事が連日載ります。他の業界についても、こうした記事から企業研究を進めることをお勧めします。
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