2016年06月30日

進む「超高齢社会」…ビジネスチャンスを探せ!

テーマ:社会

ニュースのポイント

 2015年の国勢調査の速報値で、日本の総人口に占める65歳以上の割合が5年前より3.7ポイント多い26.7%となり、初めて4分の1を超えました。世界一の「超高齢社会」が一段と進んでいます。人口は減るのに高齢者が増えていく社会は、あまり明るいイメージは浮かばないかもしれませんが、企業にとってはビジネスチャンスもあるはず。「ビジネス目線」で考えてみましょう。(編集長・木之本敬介)(写真は、健康長寿アイドルグループ「SBE80!」のメンバー=福井県鯖江市)

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「65歳以上 人口の26.7%/15年国勢調査速報/15歳未満は12.7%」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。

「超高齢社会」って?

 2015年10月1日現在の日本の人口は1億2711万人でした。人口は2008年の1億2808万人をピークに減少に転じましたが、5年ごとに行われる国勢調査では初めて、前回2010年より0.7%減りました。
 15歳未満の子どもは1586万4000人で、割合は前回調査より0.5ポイント低い過去最低の12.7%。初めて全都道府県で65歳以上の割合が15歳未満を上回りました。
 65歳以上の人口は3342万2000人。割合はイタリア(22.4%)やドイツ(21.2%)などより高く、世界で最も高い水準です=グラフ参照〈出典:「平成27年国勢調査抽出速報集計結果」(総務省統計局)〉 。世界保健機関(WHO)や国連の定義では、65歳以上人口の割合が7%超で「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、21%超で「超高齢社会」とされています。日本はこの定義をはるかに上回っているわけです。

メーカー減り、介護職増える

 働いている人と求職している人の合計の割合を示す労働力率は、男性は高齢化の影響で過去最低の70.8%、女性は1975年以降で最高の49.8%でした。幅広い世代で働く女性が増え、25~29歳の女性は80.9%で初めて8割を超えました。ただ、男性は正規雇用が64.4%だったのに対し、女性は38.9%でパート・アルバイト(43.0%)を下回りました。
 働いている人を産業別に見ると、製造業が15.7%と前回より0.4ポイント減った一方、医療・福祉が12.2%で2.0ポイント増。高齢化のため介護分野で働く人が増えていることがわかります。介護人材が不足している状況については、今日の総合面(7面)「政策を問う 2016年参院選④介護 人材確保の壁高く/外国人の受け入れ期待も」を読んでみてください。

高齢者向けビジネス考えよう

 高齢者は今後も25年以上増え続け、今は4人に1人の高齢者が2035年には3人に1人になり、2060年には総人口の約40%を占める見込みです(内閣府「高齢社会白書」)。
 人口減少と少子高齢化は、あらゆる業界、企業にとって最大の課題です。一般的に人口が減ると、その分消費は減ります。でも高齢化が進めばお年寄り向けの市場は大きくなるので、新たなビジネスチャンスも生まれるはずです。
 どんな市場が大きくなるでしょうか。介護、医療は増えますよね。ほかにも健康を維持するための食品やスポーツなどももっと盛んになるでしょう。元気なお年寄りが増えますから、高齢者向けの旅行、レジャー、エンターテインメントなども需要が増えそうです。
 世界では、60歳以上の割合が先進国で今の23%から2050年には32%に、アジアでは11%から24%に増えると予想されています。日本は「高齢化先進国」として、海外での高齢者ビジネスも展開できそうです。志望する業界や企業で、どんな高齢者ビジネスに可能性があるか、考えてみましょう。

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