ニュースのポイント
ビール大手4社による海外展開の動きが再び活発になっています。国内のビール類市場が縮小するなか、各社がまだ伸びしろのある海外事業の割合を高め、売り上げを確保しようとしているためです。
サントリーホールディングス(HD)が、2014年に1兆6000億円(当時)かけて買収した米蒸留大手ビーム(現ビームサントリー)の売上高を順調に伸ばす一方、海外展開で先んじていたキリンHDは、約3000億円かけて2011年に買収したブラジル飲料会社スキンカリオール(現ブラジルキリン)が苦戦。投資に見合う収益を得るどころか、1100億円を減損処理する事態になりました。明暗が分かれるなか、海外展開に遅れをとっていたアサヒグループHDが、イタリアなど欧州のビール4社を約3300億円かけて買収しようとしています。武将たちが所領を増やすためにしのぎを削る、さながら戦国時代のようです。(副編集長・奥村 晶)
今日取り上げるのは、8面(経済面)の「ビール 海外で明暗/サントリー 米ビームが好調/キリン ブラジル事業で損」です。
記事の内容は――ビール大手4社の2015年12月期決算が15日、出そろった。サントリーHDは傘下の米企業が先導して、売上高が前年比9.4%増の2兆6867億円(過去最高)、純利益が17.9%増の452億円と、好調。キリンHDはブラジル事業が振るわず、純損益が473億円の赤字になるなど、上場後初の純損失となった。アサヒグループHDは、ベルギーのビール大手アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブ傘下の老舗ビールメーカー、イタリアのペローニ、オランダのグロールシュなど欧州4社の買収に向けて独占交渉権を獲得したと発表。売上高に占める海外比率を約2割まで引き上げる考えだ。サッポロHDもベトナムなどに進出している。