2016年02月04日

「マイナス金利」3つのポイント…なに?なぜ?どうなる?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 「マイナス金利」が話題です。1日の「ニュース★あらもーど」でも書いたように、今年の日本経済のキーワードです。みなさんが採用試験を受ける業界・企業にも大きな影響を及ぼしますし、面接で考えを聞かれるかもしれません。「なに(仕組み)、なぜ(目的)、どうなる(メリット・デメリット)」の三つを押さえておきましょう。今日は、3分でわかる「マイナス金利」講座です。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、総合面(5面)の「教えて!マイナス金利政策㊤ 銀行に貸し出し増促す/生活にプラス?不透明」です。
 記事の内容は――日銀が2月16日から「マイナス金利政策」を始める。市場はひとまず株高・円安で反応し、長期金利は急低下した。どんな仕組みで物価を上げようとしているのか。私たちの生活にどんな影響があるのか。3回の連載で読み解く。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 マイナス金利は、欧州中央銀行(ECB)やスイス、スウェーデン、デンマークの中央銀行が近年導入していますが、国内では初めての思い切った政策です。次のポイントを押さえておけば、面接などで話題になっても最低限の話はできると思います。

①なに(仕組み)
 個人や企業が銀行に口座を持っているように、民間銀行も他の金融機関とのやり取りのために日銀に口座を持ちお金を預けています。普通の預金と同じように金利があって、今は預金量に応じて日銀から0.1%の利息がもらえますが、2月16日からは一定額を超える日銀への預金には「マイナス0.1%」の利息がつくようになります。つまり、日銀に預けると銀行は損をする仕組みです。

 日銀が描く好循環のシナリオは――
 銀行は日銀にお金を払ってまで預けたくない→企業や個人への貸し出しや投資を増やす→企業が設備投資を増やしたり個人が活発に消費するようになったりして景気が良くなる

②なぜ(目的)
 マイナス金利を導入したのは、日銀が目指す前年比「2%」の物価上昇目標をなかなか達成できないからです。日本の経済は長い間、景気が悪くなって物価が下がり続けるデフレ状態が続いてきました。日銀はこれを克服しようと、「ゼロ金利政策」や「量的緩和政策」を導入してきましたが、中国経済の減速や原油安もあり、物価が上がりにくくなっているため、初めてのマイナス金利に踏み切りました。
 今年になってから、株安・円高が続き、息切れしている安倍政権の経済政策アベノミクスを後押しする狙いもあります。

③どうなる(メリット・デメリット)
【メリット】マイナス金利でさまざまな金融商品の金利も下がるので、企業の設備投資や個人の住宅ローンなどの借金がしやすくなります。外国為替市場では、より金利が高い外国の通貨を買って円を売る動きが強まり、円安が進む可能性があります。円安は、輸出企業を潤し、日本に来る外国人観光客を増やす効果があります。
【デメリット】銀行預金の金利や、貯蓄性の高い保険などの運用商品の利回りが下がります。金利収入は銀行にとって収益の柱の一つですから、マイナス金利が銀行の経営を悪化させる可能性があります。好循環がうまくいかないと、銀行による「貸し渋り」が起きてかえって景気が悪くなることを心配する声もあります。
 上の「マイナス金利政策導入で予想される影響」の表でも、家計と企業にとってのメリットとデメリットをまとめています。

 業界への影響はどうでしょうか。住宅ローンや企業の借金の金利がさらに低くなるため不動産などの業界にはプラス、銀行や保険会社など金融機関にとってはマイナスと言われていて、株式市場ではメガバンクの株価が下がっています。自分が目指す業界にどんな影響があるか考えてみましょう。それ自体が大切な業界・企業研究になります。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから。

アーカイブ

テーマ別

月別