2015年10月23日

プロ野球のドラフトと就活は似ている!?(一色清の「今日の朝刊ウィークエンド」)

テーマ:スポーツ

ニュースのポイント

 プロ野球のドラフト会議が開かれました。野球を一生懸命やってきた学生にとっては、まさに「就活」の結果が出る日です。プロ野球への就職と一般企業への就職を一緒にすることはできませんが、重なるところもあります。人に負けないものを持っていること、チーム(部署)の弱点を補強できること、伸びしろがありそうなこと、故障のないこと、人気があることなどが指名(採用)されるポイントだと思います。ドラフトで指名されなかったり下位指名だったりする選手がその後大化けすることがあるところも、実際の会社でも似た話を見聞します。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

 今日取り上げるのは、1面(ほかにも16、17、39面)の「プロで勝負」です。
 記事の内容は――プロ野球の新人選手選択(ドラフト)会議が22日、東京都内のホテルで行われ、今夏の甲子園をわかせた高校球児たちが上位指名を受けた。全国高校選手権で準優勝に貢献した平沢大河内野手(宮城・仙台育英高=写真)は2球団競合の末、ロッテが交渉権を獲得した。優勝した左腕の小笠原慎之介投手(神奈川・東海大相模高)は中日、俊足で観客を魅了したオコエ瑠偉外野手(東京・関東一高)は楽天から指名された。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 日本のプロ野球は12チームありますが、新人の採用に関しては12チームでひとつの会社のようなものという考え方をとっています。それぞれのチームは会社の部署にあたり、総合職で採用されたら配属される部署が選べないのと同様、選手の側から入りたいチームを選ぶことはできない、というわけです。高校生や大学生はプロ野球に進むために「プロ志望届」を出す必要があるのですが、これはいわば会社にエントリーシートを出すことにあたります。そしてどのチームであれ、指名されればプロ野球という会社の内定をもらったことになります。今年指名された選手(育成選手除く)は88人でした。このうち、プロ志望届のいらない社会人を除いた高校、大学の新卒予定者は60人、プロ志望届を出していたのは159人ですので、3人に1人より少し多い割合で指名されたことになります。

 指名された選手を見ると、まず売り物を持っている選手が目につきます。楽天から1位指名されたオコエ瑠偉選手は、足の速さが高く評価されています。中日から1位指名された小笠原慎之介投手は、左投手では珍しい150キロ以上の速球を投げるというところを高く評価されました。会社でも、英語がペラペラとかIT知識がすごいといった売り物があると、有利になるのと同じです。

 チームの強化方針にぴったりの場合も、指名に近づきます。例えば、阪神は若手の野手が伸びていなくて、外国人頼みになっているのが悩みです。そこで、投手を指名するチームが多い中、明治大のヒットメーカー高山俊選手を指名しました。会社でも、たとえば中国向けの仕事を強化していると、中国語のできる人が採用されやすくなるのと同じです。

 あと、伸びしろの大きそうなことも大事です。ドラフト会議では、戦力に余裕のあるチームは伸びしろの大きそうな高校生を多く指名し、余裕のないチームはすぐにプロの試合で活躍できそうな即戦力の社会人を多く指名します。今年で言えば、ソフトバンクは6人全員が高校生。一方で今年パ・リーグ5位のオリックスは10人のうち6人、セ・リーグ5位の中日は6人のうち4人が社会人です。もちろん同じ高校生でもスカウトは伸びしろを見ています。身体も技術もすでに完成されているとか、負けん気が強くないとかといった場合、伸びしろが小さいとマイナス評価される場合があります。会社でも、優等生タイプより破天荒なところのあるタイプをとる場合がありますが、それも伸びしろを見ているのだと思います。

 故障のないことは、スポーツ選手だから当然です。今年のドラフトで一番人気だった県岐阜商の高橋純平投手(ソフトバンク指名)は、夏の大会前に足の故障があって県予選を勝ち上がれませんでしたが、故障は治り尾を引かないとスカウトは判断したようです。会社員も健康が大切なことは同じで、心身ともに健康かどうかは就活でも見られます。

 プロ野球は実力の世界ですが、ビジネスでもありますから人気はあったほうがベターだと思われています。今回指名を受けた高校生を見ると、甲子園で活躍した選手が目立ちます。オコエや小笠原、平沢のほか、平沼翔太(敦賀気比、日本ハム指名)、成田翔(秋田商、ロッテ指名)、吉田凌(東海大相模、オリックス指名)、堀内謙吾(静岡、楽天指名)、高橋樹也(花巻東、広島指名)などの甲子園組も指名されました。同じくらいの実力評価なら、お客さんの呼べる知名度の高い選手を選ぼうとするのは当然でしょう。会社に入るのも、人気のある人のほうが有利だと思います。ここでいう人気とは、好感度が高いかどうかということです。インターンなどで会社が見ている点の一つは、一緒に気持ちよく仕事ができるかどうかということです。他の点が同じくらいなら、周りから人気のある人を採用しようと思うはずです。

 ただ、採用時の評価とその後の結果が大きく違うことはよくありますので、希望した会社の内定がとれなくてもがっかりすることはありません。現メジャーリーガーのイチローはドラフト4位指名でしたし、古田敦也・元ヤクルト捕手は指名を期待して待っていたのに指名がなかった経験があるそうです。会社の就活でも、落とされ続けた中でようやく滑り込んだ会社の水があって、社長になりましたなんて話はゴロゴロしています。ここでもドラフトと一般就活は似ているなあと思います。

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