ニュースのポイント
「金融とITの融合」が注目されています。米アマゾンや楽天などのIT企業が金融業に続々参入する一方、日本では銀行法の規定で銀行は自らIT化に乗り出せないため、この規制を緩める方向です。アメリカの先行事例を参考に議論が進みそうです。「スマホでこんなことができたらいい」というみなさんのアイデアも、数年後には実現するかもしれません。ニュースから、こうした最新の動向をつかんで自分なりに考えておくと、業界・企業研究で大きくリードできますよ。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、総合面(6面)の「米金融 ITベンチャーの波/利便性・コスト減 サービス続々/日本 規制緩和を議論」です。
記事の内容は――金融機関の仕事である融資や決済などの分野に、米国でITベンチャー企業の参入が相次いでいる。給料日前に働いた分の給料を前借りして支払いや投資に回せるスマホのアプリが発表され、銀行を介さずお金の借り手と貸し手をネット上でつなぐサービスも拡大している。日本では、金融持ち株会社の子会社は金融関連の分野に限定されているため、IT企業の地術を生かした新たなサービスは難しい。金融審議会(首相の諮問機関)は26日、金融持ち株会社がIT企業を傘下に持てるようにする規制緩和について議論した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
就活生のみなさんにとって、銀行は「安定」、ITベンチャーは「挑戦」のイメージでしょうか。かけ離れた印象がある二つの業界が融合するというニュースです。
3大メガバンクは今、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、みずほFG、三井住友FGという持ち株会社のもとに、銀行や信託銀行がぶらさがる形になっています。持ち株会社が子会社にできるのは、銀行や証券会社、カード会社など金融関連の会社に制限されています。何でも子会社にできると本業とは関係のないリスクを抱えることになり、損失が出たときに銀行の健全性を損ねる恐れがあるためです。
近年、IT企業などの異業種が金融業に次々参入してきました。これに対し銀行側は持ち株会社の規制のため異業種に参入するのが難しく、規制緩和を求めてきました。全国銀行協会会長の佐藤康博・みずほFG社長は、朝日新聞の取材に「日本の金融機関も新しい技術を活用したり、他企業と組んだりしないと、攻め込んでくる異業種に負ける」と危機感を示し、「システム会社とかベンチャー企業を傘下に収め、金融業と結びつけるようなことを考えていかないと対抗できない」と語っています。
そこで金融庁は、金融と密接な関係のある会社であれば傘下に置けるようにしようと、金融審議会で議論を始めました。決済サービスを手がけるITベンチャー、スマホでの決済アプリ開発会社などが考えられています。
アメリカの例にもあるように、ITによって、私たち利用者が金融の商品を使いやすくなったり、今までにない新たな金融サービスが生まれたりする可能性があります。こうした最新の業界動向を知っておけば、エントリーシートのネタになります。リクルーター面談や面接で「金融とITの融合についてどう思いますか?」「スマホを使った新しい金融商品を考えてください」といった課題が出るかもしれません。最新の業界ニュースでリードしましょう。
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