2015年05月26日

忘れるな!面接前の最終チェック…飲料業界の場合は?

テーマ:就活

ニュースのポイント

 みなさんはどんな風に業界研究をしていますか? いろんな出版社が発行している「業界地図」の最新版をチェックする、四季報を読む、企業のホームページを見るなどでしょうか。そのとき、注意してほしいのが、一つのチャンネル、一冊の資料だけで満足しないということ。たとえば出版物で確認できるのはその本の発行日以前の情報でしかありませんし、企業ホームページには、公表が必要な決算報告などを除くと、ネガティブな情報はあまり掲載されていません。
 多くの業界で、少子化による国内市場の縮小、新興国進出への足がかりづくりといった、さまざまな課題を解決するために、再編が繰り返されています。志望業界の最新の情報をしっかり把握しておきましょう。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、経済面(7面)の「JTの飲料・自販機 サントリーが買収/計67万台に/コカ・コーラを追う」です。
 記事の内容は――サントリー食品インターナショナルが、日本たばこ産業(JT)から、自動販売機を使った清涼飲料の販売事業と、「桃の天然水」と缶コーヒー「Roots(ルーツ)」の両飲料ブランドを買うことで合意したと発表した。サントリーは国内に49万台の自販機を持つ。今回の買収によってJTの18万台を加えて67万台となり、98万台で首位の日本コカ・コーラに迫る。サントリーは自販機の運営などをてがけるJT傘下の3社の株を7月までに買う。1社は全株を、残る2社は5~7割を取得する。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 「今日の朝刊」(2015年2月5日)でも取り上げていますが、JTが撤退した飲料事業をどこが獲得するかは「業界地図」に大きな影響を及ぼすと注目されていました。特に各社がほしがっていたのは、JTの子会社がもつ自販機網です。ほぼ定価で売れる自販機はスーパーなど小売店での販売に比べ利益が出やすく、新たに設置できそうな場所も残り少ないからです。結局、業界2位のシェアをもつサントリー食品インターナショナルが、同3位のアサヒ飲料、同5位のキリンビバレッジなどを抑え、激しい「争奪戦」を制しました。
 今後の目標について、サントリー食品の鳥井信宏社長は、ライバルのコカ・コーラを意識し、「2020年の東京五輪までに(清涼飲料の販売で)1位になる」と話しています。

 飲料業界に限らず、ここ1、2年、さまざまな業界で再編がありました。主なものだけでも、地方銀行、学習塾、石油元売り、コンビニエンスストアやスーパー、出版社など、数えるときりがないほどです。国内外の同業他社の買収や業務提携による業界内再編だけでなく、東京電力とソフトバンクなど、異業種提携も進んでいます。
 面接などで志望動機を語るとき、古い情報を前提にしていると、「この学生は企業研究が不十分だな」「ニュースへの感度が悪いな」と思われかねません。面接前には志望企業の最新ニュースをチェックしておきましょう。
 志望企業への入社を果たしたみなさんの先輩のなかには、四季報の「業界地図」を何度も読み込み、「なぜこの業界が気になるのか」「なぜこの業界に自分は興味をもてないのか」を感じるままに付箋に書き込んでいくことで、自分の就活の「軸」を絞り込んでいった人もいます。気になる業界に関する最新ニュースを付箋にメモして、手持ちの業界研究本に貼り付けていくなどすれば、最新ニュースという「点」だけでなく、その業界の過去、現在、未来が「線」で把握しやすくなり、より理解が深まりますよ。

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