2015年02月10日

農協改革は企業にチャンス!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 日本の農業の中心団体、農協(JA)の制度が変わることになりそうです。農協改革は安倍首相が進めるアベノミクスの「成長戦略」の象徴。日本の農業が活性化すれば、今よりずっと多くの企業が農業に関わるようになるでしょう。企業にとっては大きなビジネスチャンス到来と言えそうです。

 今日取り上げるのは、1面の「農協制度 60年ぶり改編/全中、政府案受け入れ」です。
 記事の内容は――自民、公明両党と全国農業協同組合中央会(全中)は9日、全中の地域農協への指導・監査権の廃止を柱とする農協改革で合意した。全中は改革案に抵抗したが、押し切られた。1954年の全中発足以来続いてきた、全中を頂点とする農協グループの組織形態は約60年ぶりに変わる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 農業の話なんて就活に関係ないじゃん!と思うなかれ。農業の改革は、日本の経済成長に関わる話ですし、農産物の生産はもちろん、流通や販売には、たくさんの企業が関わっています。交渉が大詰めを迎えている環太平洋経済連携協定(TPP)の行方も左右します。企業も注目しています。

 そもそも農協って何でしょう? 正式な名前は、農業協同組合。農家がお金を出し合って運営する組合で、戦後すぐにできました。たくさんの農家がまとまって肥料や農機具を安く買ったり、つくった農産物を売ったりする組織です。ただ、運営能力や農業指導のノウハウが十分でなく、経営困難になる農協が続出。1954年に、地域農協の指導や合併促進のために全国組織である全中ができました。その傘下には、農産物販売を担う「全国農協連合会(全農)」、農家の貯金や融資のための「農林中央金庫(農林中金)」、保険事業を行う「全国共済農協連合会(共済連)」があります。

 その後、高齢化が進み2012年度の農業を主な仕事とする農家の平均年齢は66歳超に。1960年代に600万人近かった農協の正規組合員は461万人にまで減りました。農業の担い手は減り、耕作放棄地が広がっています。全中の画一的な指導が農家の独自の取り組みを阻み、JAグループの集荷や販売に頼りすぎて意欲のある農家が育ちにくいとも言われてきました。そこで、政府は全中を「岩盤規制」の象徴として、抜本的な改革に取り組んできたわけです。今回の改革で、全中は事実上の「解体」との声がある一方、地域農協を代表する役割は残るため、これからも影響力は維持されるとの見方もあります。

 2009年の農地法改正により企業にも農地借用ができるようになったことで農業が始めやすくなり、すでに1000社近くが参入したと言われています。スーパーのイオンやコンビニのローソンは、独自の農場を展開しています。農協に頼らない独自の販売ルートを開拓したり、自らつくったりする意欲的な農家も増えています。農協改革で、こうした動きがさらに加速するのは間違いありません。

 食品メーカー、食品卸や流通業、小売業、商社など、農業に関わる業界はたくさんあります。農産品のブランド化や海外への輸出にも多くの会社が乗り出しており、今後、企業の役割はますます高まるでしょう。農業の「6次産業化」という言葉も覚えておいてください。

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