2015年02月12日

「人生はマラソンだ!?」 広がるクラウドファンディング

テーマ:社会

ニュースのポイント

 私は走る、だから困っている人たちに寄付をして――。インターネットを通じ、クラウドファンディングの手法を使って社会貢献をするランナーが増えています。クラウドファンディングは、起業や研究、学費の支援など、さまざまな目的で使われていますから、みなさんも耳にしたり、実際に活用したりしたことがあるかもしれません。つい先日は、中学生が廃校寸前の母校を残すためにネットを使って募金を呼びかけ、700万円を集めた、というニュースもありました。どういう仕組みなのか、簡単に説明できるようになっておきたいですね。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、社会面(31面)の「走る 募る 寄付の輪/マラソン大会 制度利用広がる」です。
 記事の内容は――2月22日に開催される東京マラソン(参加者約3万6000人)には、自分が寄付したり周りから寄付を集めたりすると大会に出られる「チャリティーランナー」という特別枠がある。先着3000人で、寄付は10万円以上が条件。チャリティーランナー制度は2011年から始まり、当初はランナー本人が寄付する形だったが、2013年から、家族や友人ら「サポーター」から寄付を募れるようになった。今大会のチャリティーランナーは2930人、そのうち約1割にあたる282人が、サポーター制度を利用、新しい社会貢献の形として注目されている。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 2014年夏に日本でも公開されたオランダ映画「人生はマラソンだ!」は、メタボな中年男4人が破綻寸前の自動車修理工場を再建するためにフルマラソンに挑戦する姿を描いたハートフルコメディです。このときはマラソン完走の目的が借金を肩代わりする広告主との約束でしたが、人というのは、何らかの「負荷」があったほうが、よりがんばれる、というのがよくわかるストーリーでした。
 それと同じように、今回のニュースでも、「自分で10万円を負担することもできたが、新しい寄付の形を広めたかった」という横浜市の会社員男性(39)、同僚に呼びかけた結果、8万円以上の寄付が集まり、「もはや自分だけのマラソンじゃない」と話す医療関連の研究所に勤める男性(57)のコメントが紹介されています。
 少し前の話になりますが、ノーベル賞も受賞した京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(52)が2012年、京都マラソンでの完走を掲げて研究者の雇用のための寄付を募り、1000万円超を集めたことも注目を集めましたね。

 そもそもクラウドファンディングは個人や企業が気軽に資金集めができる米国発の新しい仕組みです。大きく分けると、資金提供者に金銭的なリターンの一切ない「寄付型」、金銭リターンが伴う「投資型」、プロジェクトが提供する権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」の3種類があります。今回のマラソンなどは「寄付型」ですね。
 個人がクラウドファンディングをする場合、主に「プラットフォーム」と呼ばれる寄付サイトを使います。プラットホームには、ビジネス、クリエイターやアスリート、中高生など支援対象を特化したものもあり、支援したい人と、支援を受けたい人が、つながりやすいよう、どんどん進化しています。朝日新聞社も3月から「A-port」(エーポート)というクラウドファンディングのサイトを開設します。

 就活でのESやグループディスカッション、インターンシップなどで、企業が学生によく出す課題に、新商品のプロモーションや、新規事業の提案があります。アイデアの斬新さはもちろんですが、実現するための資金の捻出方法や、収益構造まで説明できる学生には「一目置く」と採用担当者は言います。
 これを機に、いま注目されている資金調達方法の一つである、クラウドファンディングについても、基本をおさえておきましょう。

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