三原社長は男性、女性にかかわらず働く世代を、DO世代(45歳以上)、HOW世代(35~45歳)、WHAT世代(25~35歳)と名付け、若いWHAT世代が、「働き方」改革の立役者になっていくだろうと期待しています。
三原社長によると、DO世代はいわゆる長時間労働世代で、仕事のやり方は上司の指示や先例にならってがむしゃらに働き、それなりの成果が出たので、自分の働き方をなかなか見直せないといいます。HOW世代は、そういった滅私奉公的な働き方に疑問を持ち始めた世代、そしてWHAT世代こそが、長時間労働や精神論、人間関係、仕事量に縛られない働き方ができる世代だというのです。
ポイントは「成果にならないこと、効果を見込めないことはやらない」と割り切れるかどうか。平たくいえば上司から指示されたことでも「こんなことやる意味あるんですか」と言い返せるかどうか。想像するとなんとなく人間関係にひびが入りそうですよね。そんな発言をしても「にらまれない」だけの実績はもちろん必要ですが、これが言えないと、その会社はDO世代の独壇場になってしまい、成長は見込めないというわけです。DO世代は退職も近いですし、そのまま逃げ切れるかもしれませんが、会社員人生がまだまだ続くWHAT世代には今いる会社が成長するか衰退するかは非常に大事な問題ですよね。
実はDO世代が、意思決定などに幅を利かせている古い体質の会社では、優秀な社員、主に女性社員が20代後半、だいたい27歳くらいで転職市場に出て来るのだそうです。つまり今の職場環境ではキャリアアップが見込めないとあきらめてしまうのですね。これは、新卒でこの女性が就職した企業にとっても、せっかく優秀な人材を採用したのにその果実を得ないまま失うという大きなロスです。一方の女性にとっても、正社員だった前職より好条件の再就職先をさがすのは至難の業。あえて得をした人をさがすとすると、この優秀な女性を、本来の値打ちよりお安く雇用できた再就職先かもしれませんが、この企業が必ずしも彼女の能力を生かせるとも限りません。再び短期間で転職、ということもありえます。そうなると、企業にも成果が残らず、働く女性のほうもキャリアアップどころか、気付いたころには履歴書には社名がズラリ、ということになりかねません。次の転職では「あきっぽい性格なのかな」「うちでも仕事の内容を覚えたころに辞めてしまうかも」「契約ならいいけど、正社員ではちょっと……」という風に、ますます労働条件が悪化することは目に見えています。