私が就活をしていた1990年代には、「中小企業の総合職より、有名企業の一般職」という女子学生がいっぱいいました。いまの時代は、大企業は一般職の正社員をあまり採用しなくなっていますから、あえて言い換えるとすると「中小企業の正社員より、有名企業の派遣・契約(非正規)社員」という感覚でしょうか?
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2014年11月20日
大手の派遣より、中小の正社員ってホントかな? ♡Vol.12
いつも心にエンジェルを。
私が就活をしていた1990年代には、「中小企業の総合職より、有名企業の一般職」という女子学生がいっぱいいました。いまの時代は、大企業は一般職の正社員をあまり採用しなくなっていますから、あえて言い換えるとすると「中小企業の正社員より、有名企業の派遣・契約(非正規)社員」という感覚でしょうか?
私が就活をしていた1990年代には、「中小企業の総合職より、有名企業の一般職」という女子学生がいっぱいいました。いまの時代は、大企業は一般職の正社員をあまり採用しなくなっていますから、あえて言い換えるとすると「中小企業の正社員より、有名企業の派遣・契約(非正規)社員」という感覚でしょうか?
当時、彼女たちに話を聞くと、「総合職は髪振り乱して働くイメージでイヤ」「仕事人間になって嫁に行き遅れそう」とか、「一般職のほうが有名企業の男性と結婚できる確率が高いような気がする」とか、人それぞれの理由がありました。
いま就活しているみなさんからすると、「なんとゼイタクな……」という感じかもしれません(写真:PIXTA)。
実際、有名企業に一般職で入社し、その会社で見つけた彼と結婚して退社、専業主婦になった友人もいっぱいいます。皆それなりに幸せそうですし、たまに会うと私のほうが、「よく、そんなしんどい思いして働き続けているねえ」といたわられます。当時の一般職は正社員でしたし、会社に残る自由もありました。そういう意味でも恵まれていた時代でした。
いま就活しているみなさんからすると、「なんとゼイタクな……」という感じかもしれません(写真:PIXTA)。
実際、有名企業に一般職で入社し、その会社で見つけた彼と結婚して退社、専業主婦になった友人もいっぱいいます。皆それなりに幸せそうですし、たまに会うと私のほうが、「よく、そんなしんどい思いして働き続けているねえ」といたわられます。当時の一般職は正社員でしたし、会社に残る自由もありました。そういう意味でも恵まれていた時代でした。
さて、本題。みなさんは結婚したいですか? もしそうだとしたら、中小企業の正社員と、有名企業の派遣社員、どちらを選びますか? 具体的にもう相手がいる人や、人生の優先順位がすでに固まっている人は、心のおもむくままに選択すればいいと思いますが、もし、ぼんやりと、「いつかは結婚したいなあ」と思う人に、ちょっと気になるデータを紹介します。
厚生労働省が2012年にまとめた「21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)」には、初職(初めて就いた仕事)の正規・非正規別にみた結婚経験の割合、という項目があります。対象年齢は28~42歳。いわゆる適齢期を過ぎた男女、回答数は約1万3063人です。
さあ、結果はどうだったでしょうか?
男性の場合、「初職が正規」の場合、結婚経験は66.7%、「初職が非正規」の場合、それが40.5%まで一気に下がります。これは想像どおりですね。一般的に経済力を期待される男性が、賃金の安い「非正規」だと、なかなか所帯を持てない、というのはわかりやすい結果です。
さて、女性の場合です。実は女性の場合、「初職が正規」だと結婚経験は74.7%にものぼります。一方、「初職が非正規」だと、59.4%まで下がりました。男性の場合より溝は小さいとはいえ、その差は歴然としています。
厚生労働省が2012年にまとめた「21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)」には、初職(初めて就いた仕事)の正規・非正規別にみた結婚経験の割合、という項目があります。対象年齢は28~42歳。いわゆる適齢期を過ぎた男女、回答数は約1万3063人です。
さあ、結果はどうだったでしょうか?
男性の場合、「初職が正規」の場合、結婚経験は66.7%、「初職が非正規」の場合、それが40.5%まで一気に下がります。これは想像どおりですね。一般的に経済力を期待される男性が、賃金の安い「非正規」だと、なかなか所帯を持てない、というのはわかりやすい結果です。
さて、女性の場合です。実は女性の場合、「初職が正規」だと結婚経験は74.7%にものぼります。一方、「初職が非正規」だと、59.4%まで下がりました。男性の場合より溝は小さいとはいえ、その差は歴然としています。
その理由を分析した人がいます。川口章さんという同志社大学政策学部教授です。川口教授の著書『日本のジェンダーを考える』(有斐閣選書)によると、女性の初職が非正規であると結婚確率が低くなる理由は、
①非正規の職についている女性は収入の高い男性と出会う可能性が低い。非正規労働者が多い小売り、サービス、飲食店などの業種では同僚も非正規労働者である可能性が高い。友人など社会的ネットワークも非正規に偏りがちで、男性正規労働者との出会いの確率が低くなる。
②女性にとっても正規労働者が一つのステータスになっている。非正規労働者では高収入の男性との合コンやお見合いパーティーに参加することは難しい。結婚退職するつもりであるにしても、独身の時点で非正規では、高収入の男性と対等なつきあいができない。婚活には費用がかかる。ファッション、化粧品、エステなど外見を磨くことや、芸術やスポーツに親しんで内面を磨くにも費用がかかる(写真:PIXTA)。
①非正規の職についている女性は収入の高い男性と出会う可能性が低い。非正規労働者が多い小売り、サービス、飲食店などの業種では同僚も非正規労働者である可能性が高い。友人など社会的ネットワークも非正規に偏りがちで、男性正規労働者との出会いの確率が低くなる。
②女性にとっても正規労働者が一つのステータスになっている。非正規労働者では高収入の男性との合コンやお見合いパーティーに参加することは難しい。結婚退職するつもりであるにしても、独身の時点で非正規では、高収入の男性と対等なつきあいができない。婚活には費用がかかる。ファッション、化粧品、エステなど外見を磨くことや、芸術やスポーツに親しんで内面を磨くにも費用がかかる(写真:PIXTA)。
個人的には「?」という理由もないわけではありませんが、傾向としては納得できます。いまや男性の正規労働者であっても、倒産やリストラ、心の病気、親の介護などで、収入の道が断たれる可能性はゼロではありません。正社員の妻は、そのとき大きな「セーフティネット」になります。
しかし、国内にいる労働者、約5300万人のうち、非正規雇用は約1950万人、全体の4割近くが非正規労働者ということになります。しかも、非正規労働者のうち約68%が女性です。
アベノミクスの成長戦略で、やたらと「女性活用」が叫ばれていますが、育児休業にしても介護休業にしても、制度の対象は、あくまでも「正社員」であり、非正規労働者の場合、さまざまな要件を満たさないと取得できません。それこそ、妊娠=退職勧奨、という対・正社員なら「マタニティ・ハラスメント」(マタハラ)に当たることが、対・非正規労働者には横行しているのが現状です。
さらに、秋の臨時国会で審議されていた労働者派遣法改正案により、非正規労働の一つである派遣労働が、臨時的、一時的なものという大原則が崩れ、労働者が使い捨てにされると危惧されています。
しかし、国内にいる労働者、約5300万人のうち、非正規雇用は約1950万人、全体の4割近くが非正規労働者ということになります。しかも、非正規労働者のうち約68%が女性です。
アベノミクスの成長戦略で、やたらと「女性活用」が叫ばれていますが、育児休業にしても介護休業にしても、制度の対象は、あくまでも「正社員」であり、非正規労働者の場合、さまざまな要件を満たさないと取得できません。それこそ、妊娠=退職勧奨、という対・正社員なら「マタニティ・ハラスメント」(マタハラ)に当たることが、対・非正規労働者には横行しているのが現状です。
さらに、秋の臨時国会で審議されていた労働者派遣法改正案により、非正規労働の一つである派遣労働が、臨時的、一時的なものという大原則が崩れ、労働者が使い捨てにされると危惧されています。
具体的にどういう改正かというと、従来あった、3年を超えて派遣社員を同じ業務に就かせる場合、正社員として雇用しなければならないという企業に課されていた「3年ルール」をなくす、というのが柱です。働き手さえ3年ごとに代えれば、企業は同じ仕事をずっと派遣社員に任せることができるようになります。派遣社員から見れば、正社員として雇用されるチャンスが低くなります。
解散が決まり、今国会での成立は見送られましたが、派遣に限らず、非正規社員をとりまく環境は厳しくなる一方です。
解散が決まり、今国会での成立は見送られましたが、派遣に限らず、非正規社員をとりまく環境は厳しくなる一方です。
就活はイス取りゲームではありませんし、人生設計は人それぞれです。非正規でも、自分の仕事に誇りとやり甲斐をもち、私生活も充実させながら、いきいきと暮らしている人もいっぱいいます。タイトルの問いに「正解」はありません。
どんな人生を送りたいのか、まずは自分の未来に向き合ってみてください。それが就活の一番の“醍醐味”であり、“効能”なのかもしれません。
どんな人生を送りたいのか、まずは自分の未来に向き合ってみてください。それが就活の一番の“醍醐味”であり、“効能”なのかもしれません。
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