あきのエンジェルルーム 略歴

2015年05月14日

どうして私ばっかり!? 「不公平感」は諸悪の根源 ♡Vol.35

 いつも心にエンジェルを。

 みなさんは、なんとなく目の前の課題にやる気が出ない、前向きな気持ちになれないときはありませんか? 私にはよくあります。そんなときはとりあえず目の前の作業を“一旦停止”。お茶を飲んだり、好きな音楽を聴いたりするようにしています。モヤモヤを抱えたままでの作業にはミスも出やすいものです。私の場合、仕事中はまとまった時間、離席することができないので、飲み物を買いに行く、歯磨きする、などで気持ちを切り替えるようにしています。
 自宅にいるときも、家事のモチベーションが著しく下がるときがあります。単に疲れている、というときもありますが、多くの場合は、自分は「がんばっている」のに目の前にいる夫が「がんばっていない」ときです。こんなことがありました。
 小学生の娘がいるので、給食のない春休みや夏休みの朝はお弁当づくりから始まります。今年の春休みのある日、お弁当づくりがほぼ佳境に入ったころ、夫がのそのそっと起き出し、ゆったりテレビを見て、新聞をめくり、コーヒーを飲みながら、「寒い! 換気扇止めてよ」とややキレ気味にキッチンの私に言いました。
 私はアンガーマネジメントを学んでいるので、そこで怒り爆発とはなりませんが、「なぜ弁当づくりはいつも私だけ?」「こっちは起きてからほとんどソファに座る余裕もなく立ち働いているのに、ほんの数分『寒い』くらい我慢してほしい」など、いろんな思いがよぎります。しかも我が家は共働き、経済的な負担も同じようにしています。いや、仮に専業主婦だったとしても、片務的な生活は快適ではないですよね。

 そう、不満や不公平感というものは、自分の体の内から唐突に生まれるというより、他人と比較したときに生まれやすいのです。
 
 「なんで自分ばっかり○○!?」。○○に自分のいま置かれている状況に合ったネガティブな単語を入れてみてください。みなさんにも思い当たることがあるのではないでしょうか。
 みなさんがこれから社会人になれば、この「なんで自分ばっかり」に必ず出合います。新人だからと、「電話を取れ」「コピーをしろ」「茶碗を洗え」「飲み会の幹事をしろ」、さまざまな仕事がふってくるでしょう。しかし、会社に利益をもたらせる人材になるまでは、給料をもらって「勉強」している身です。よほど理不尽な指示でない限り、ここは素直に取り組みましょう。
 作家のエージェント会社コルク社長の佐渡島庸平さん(人気コミック「宇宙兄弟」や「ドラゴン桜」の仕掛け人)が、朝日求人WEBのインタビュー「仕事力」で、講談社のコミック編集部員だった時代を振り返っていました。「例えば受信したファクスを取りに行って配ると、誰がどのくらい外部とやり取りしているかがはっきりわかる。電話の取次ぎもそう」。つまり細かな事務作業を通じ、先輩の仕事を盗み見ることで、自分の「成長」の種をつかむことができるのだから、雑用をしないのは「もったいないぞ」と。

 次に、みなさんが仕事を覚え、職場の大事な戦力になったとしましょう。あくまでも極端な例ですが、職場には、席で新聞や雑誌を読んでいる時間が大半のオジサマ社員や、定時になるとさっさと帰る飲ミュニケーション大好き社員、あるいは子育て中で短時間勤務をしているママ社員がいるとします。あなたは今日、彼氏とデートの予定が入っていて定時退社を目指しています。そんなとき、たまたま夕方に急ぎの案件を上司から依頼されます。オジサマ社員たちは知らん顔、ママ社員も時短ですでに帰宅、上司は「悪いけど頼むわ」と。「エーッ!?」。ありがちなシチュエーションですね。
 そんなとき、みなさんはだれに不公平感を持つのでしょうか。仕事をふってきた上司ですか。それともオジサマ社員に「私よりお給料たくさんもらっている癖に」と思うのでしょうか。はたまた「子育てを理由にすれば何でも許されるの?」とママ社員に憤るのでしょうか。いずれにしても精神衛生上、よくなさそうですね。

 いったいどうすればそういう不公平感から解消されるのでしょう。いま、企業は生き残るための経営戦略として、職場のダイバーシティーを推進しています。ダイバーシティーとは女性や外国人、高齢者、障害者など、多様な人材と、その視点を活用する考え方です。
 日本企業はこれまで、「いつでも」(長時間労働可能)、「どこでも」(転勤可能)、「なんでも」(仕事内容は選べない)という総合職と、職場や職務が一部限定的な一般職あるいは専門職(ここまでは正社員であることが多い)、そして契約、嘱託、パートなどの非正社員に分類されてきました。総合職社員は出世や昇給ペースの差こそあれ、給与、待遇など労働条件はほぼ同じ、という時代が長かったのです。
 しかし、2000年代から事務系の一般職などが非正社員化され、正社員として残った総合職にも多様な働き方が広がってきました。「いつでも」「どこでも」「なんでも」ではない社員が職場に増えたことは、多様な視点をもつ、という意味では職場として歓迎すべきことなのですが、それを不公平に感じる社員がいるのもこれまた現実です。

 どうすればこの不公平感を解消できるか、この難題に果敢に挑戦している企業があります。それが、2011年に第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の中小企業庁長官賞を受賞したレーザー専門商社、日本レーザーです。もともと、電子顕微鏡のトップメーカーである日本電子の子会社でしたが、一時は銀行が融資を引き揚げるほど、経営が悪化していました。そんな会社が“あること”をきっかけに生まれ変わり、一人の社員もリストラすることなく黒字転換を果たします。
 女性、高齢者、外国籍など、立場も労働条件も異なる社員を抱えながら、不公平感を解消する工夫で、社員のモチベーションを高め、売り上げを伸ばしている会社のヒミツを聞いてきました。

 キーワードは「透明性」「納得性」、そして「報われる安心感」です。次回、詳しく紹介します。