あきのエンジェルルーム 略歴

2015年04月23日

そもそもアナタは活躍したいの? “10 の設問”で判定します ♡Vol.33

 いつも心にエンジェルを。

 この連載では、男女を問わずやりがいをもって働き続けられる職場を私なりの指針で選び、「エンジェル企業」として紹介しています。しかし、そもそもみなさんは「女性活躍を推進している企業」で働きたいのでしょうか? 最近女子学生と話すことが多いのですが、「管理職なんて目指していない」「好きな(orイヤではない)仕事でそこそこのお金をもらえればそれで十分」という人も少なくありません。
 先日、女性の活躍推進をテーマにしたセミナーで、法政大学のキャリアデザイン学部教授で臨床心理士の宮城まり子さんのお話を聞く機会がありました。
 その中に男性管理職向けに宮城さんがつくられた「無意識調査、さて、あなたは?」という10の設問がありました。ぜひ学生のみなさんにも考えてほしいので、許可を得て、掲載させていただきます。まだ社会人でも管理職でもないからわからない、と思う質問は飛ばして構いません。
 ○そう思う △ややそう思う ×そうは思わない のいずれかで正直に回答してみてください。

① 女性の真の幸福は、結婚して家庭にはいり子どもを産み育てることだと思う。
② いつまでも独身で仕事を続けている女性を見ると、結婚のことが気になる。
③ 働く母親の子どもは、小さい時から保育園に預けられて可哀想だ。
④ 奥さんが働いていると夫にもしわ寄せがきて、仕事に影響が出るように思える。
⑤ 育児休業、短時間勤務などは、仕事が中途半端になり会社にとってマイナスだ。
⑥ 本気で仕事をする覚悟のない女性は出産による退職はやむをえない。
⑦ 奥さんが専業主婦の場合にも男性が育児休業をとるのはおかしい。
⑧ 自分の部下は優秀な女性よりも、多少能力は下でも男性の方が望ましい。
⑨ 女性の管理職を増やすことは必ずしも今必要とは思わない、会社に大きなメリットはない。
⑩ 女性の活躍推進は会社の現在の状況に本当に必要なのか確信はもてない。
 ハイ! 結果はどうでしたか? ○は何個ありましたか? ちなみに宮城さんは、1個でも○があったら、その意識を変えてもらうよう、男性管理職を“指導”するそうです。

 みなさんは人生を「選択」する側です。○があったらダメということはありません。ただし、考えてみてほしいのです。たとえば①②が○だった人、夫がケガや病気で働けなくなることも、離婚することもあります。③に○をした人、親と平日の数時間離れて過ごす子は不幸せなのでしょうか。小さいときから同じ年頃の子どもと集団で過ごすことで社会性が身につく、親ではない大人に甘えることができるようになる、というメリットもあります。⑤⑥に○の人、男性並みに長時間労働できる女性しか、企業には歓迎されないと思い込んでいませんか。
 こういった思い込みは「ジェンダー・バイアス」と呼ばれます。直訳すれば「性別による偏見」、男女の役割について固定的な観念を持つことです。例えば、男性は外で働き妻子を食べさせるのが当たり前、女性は家事をこなし子どもを育てるのが役目、とか。男女かかわらず、その人の育った社会や経験によって、すりこまれてしまった価値観の一つです。

 男性だけでなく、女性もこのジェンダー・バイアスをもっています。未婚女性(18~34歳)の理想とするライフコースは「子どもが小さいうちは子育てに専念、落ち着いたら再就職」という「再就職コース」の割合が35.2%でトップです。その後、「両立」(30.6%)、「専業主婦」(19.7%)の順で続きます(♡Vol.14も読んでね)。
 男性側も同様に、パートナーの女性の理想のライフコースは「再就職」(39.1%)、「両立」(32.7%)、「専業主婦」(10.7%)の順になっています(2010年国立社会保障・人口問題研究所「結婚と出産に関する全国調査」)。
 結果的に、働く女性の約6割は出産で退職しています。
 人生は人それぞれ。そこに良いも悪いもありません。ただ、現実を理解したうえでの選択かどうかは気になります。特に経済的なことだけを考えると、再就職コースはかなり非効率だといえましょう。出産後の再就職の場合、正規雇用はスキルのよほど高い人でない限り、難しいからです。
 
 生涯賃金を比べてみましょう。大卒で就職し、平均年収400万程度の職に就いたとします。子育てのために30歳で退職して再就職せず専業主婦になると400万円×8年で3200万円程度です。もし、40歳から再就職し、定年まで週40時間程度、月給20万円程度の非正規社員として働けば240万円×20年の4800万円を出産前の収入に加算して、8000万円程度になります(もちろん個人差があります)。
 一方、子育てを産休と育休で乗り切り、定年まで正社員として働くとします。入社時の年収が400万円前後なら、昇給分もならせば定年までの平均年収は500万円以上になるでしょう。そうすると最低でも生涯賃金は2億円近くにはなります。「終身雇用」という日本型の雇用慣行が続けば、という前提ではありますが、夫も家事・育児に主体的にかかわり、妻の負担を軽減して、妻が働き続けやすくすることで、世帯収入が億単位でアップするのであれば、努力する価値はあると思う男性もいるのではないでしょうか。
 50年後の日本の人口は約3割減少し生産年齢人口はほぼ半減すると予測されています。企業が成長を続けるためには女性に労働市場の担い手になってもらう必要があるのです。グローバル化が加速し、企業にとってダイバーシティー推進は経営戦略の一つになりました。ようやく一部の企業ではありますが、性別ではなく個人の意欲や能力に応じた人材育成が始まったのです。
 労働人口が少なくなるから女性も「働け」、少子化対策の一環でもっと「産め」、祖父母や保育所を活用してしっかり「子育て」も、とハッパをかけられる。なぜ女性の人生は、社会の「都合」に振り回されてばかりなのか、うんざりしますよね。その気持ち、よくわかります。
 ただ、ほんの少しでも「選択肢」が広がったのなら、女性の側から「チャンスなんていらない」と返上する必要もないと思うのです。

 先ほどの設問ですが、「どう考えても私はやっぱり○だなあ」という結論に達したら、それはそれでいいのです。大切なことは、自分の価値観を知ること。そしてもっと大切なことは、その価値観を人に押しつけないようにすることです。

 独身女性や子どものいない女性を「かわいそう」と思ったり、時短勤務で早く退社するママ社員を「ずるい」と思ったり。心の中は自由ですが、それをむき出しにすることで傷つく人がいることを忘れないでくださいね。最近話題の妊娠、出産を理由にした不適切な対応「マタニティーハラスメント」の加害者の約3割は女性という調査結果もあります。

 女性同士で仲間割れしていてはせっかくの「追い風」を生かせませんよ。

人気記事