いつも心にエンジェルを。女性を大切にする会社の見分け方の一つに、男女の平均勤続年数の差という指標があります。つまり、女性の勤続年数が男性に比べて極端に短い場合、女性社員が結婚退社、出産退社するのが「普通」という会社の可能性が高いからです。
しかし、そうでなくても、勤続年数の差が出てくるケースがあります。男性主流の会社から生まれ変わろうと、女性の新規採用に急激に積極的になったという場合です。ロールモデルは少ないけれど、女性登用の熱意はあるという、いわば過渡期の会社です。
今回は住宅建設業界としては唯一、2013年、2015年と2度も、「なでしこ銘柄」に選定されている積水ハウスを紹介します。なでしこ銘柄は、上場企業のなかから東京証券取引所と経済産業省が、女性活躍推進に工夫があり、財務内容も健全という企業を選んでいます。(上写真は同社のゼロエネルギー住宅「グリーンファーストゼロ」)


同社の従業員数は1万5750人、そのうち約18%が女性です。これまでほとんどいなかった営業系の女性総合職採用をスタートしたのは2005年度から。女性採用の歴史が浅いぶん、平均勤続年数は男性が16.88年、女性が9.53年とまだまだ差があります。ここ数年間、積極的に女子を採用したため、若い女性社員が多く、平均すると勤続年数が低く出るわけなのです。積水ハウスでは、新卒採用する際、女性比率を営業系20%、技術系30%を目安にしています。優秀な人を選んでいるうち、技術系の新卒女性社員が4割近くになる年もあるそうです。
同社では2006年3月、「女性活躍の推進」「多様な人材の活用」「多様な働き方、ワークライフバランスの支援」を三つの柱とした「人材サステナビリティ」を宣言しました。サステナビリティは直訳すると「持続可能性」、この場合は、利益だけでなく社会的責任を果たす企業は、将来においても事業を存続できる可能性が高くなる、というような意味です。
店舗単位でみると、女性社員はまだまだ1、2人の少数派です。そういう女性たちを孤独にさせないために2007年から、全国から女性営業社員を集めた「全国女性営業交流会」(右写真)を年1回のペースで開催するようになりました。全国16事業本部長が参加し、成績優秀者を表彰し、女性社員の活躍事例を発表、社長からのコメントなども出します。
制度のほうも育休は最長3年間、短時間勤務、勤務時間の繰り上げ繰り下げも可能です。男女かかわりなく、好評なのは「時間年休」制度です。有給休暇というと、一日単位、あるいは半日単位という企業が多いのですが、同社は1時間単位で休暇が取れます。銀行や病院、学校行事など2時間程度の離席で事足りるような私用に時間年休を使うことで、無駄なく有給が活用できます。





