あきのエンジェルルーム 略歴

2015年02月19日

「ドラえもん」に学ぶ だれかがどこかで見ていてくれる! ♡Vol.24

 いつも心にエンジェルを。

 1月の話ですが、仕事の関係で、「企業と大学との賀詞交換会・講演会」(大学職業指導研究会主催)に参加してきました。みなさんにとっても身近な、大学のキャリアセンターなど学生の就職相談に乗る担当者のみなさんと企業の採用担当者との会合です。大学関係者150人、企業関係者も500人近く参加していました。いい学生がほしい企業、学生にいい就職をしてほしい大学、それぞれの熱い思いが伝わる会話が、そこここで繰り広げられていました。
 乾杯の前に、実践女子大のキャリアセンター部長である串崎扶美子さんが挨拶をされました(右写真)。職業柄、どうしてもリクルートスーツに目が行ってしまうという串崎さん。そのお話に心を打たれました。

 駅で就活中とおぼしき女子学生をみかけ、なんとはなしに見ていたら、その近くで、足元のおぼつかないお年寄りが大きな荷物をもって階段を下りようとしているではないですか。
 言葉までは聞こえなかったそうですが、その女子学生はそのお年寄りに近づき、ごく自然な感じで、片方の手に荷物を持ち、もう一方の手でお年寄りの手を引き、ゆっくり、ゆっくりと一段ずつ階段を下りていったそうです。その間、お年寄りはなんやかやと学生に話しかけていたようですが、そんなに話し上手な学生でもないのでしょう、特に受け答えをするでもなく、ただ笑顔で、お年寄りに接していたそうです。そして最後の最後、お年寄りと階段を下りきって、荷物をお年寄りに返して別れる瞬間、ほんの小さな声で「お気をつけて」と言ったそうです。
 串崎さんはたまらずその女子学生に駆け寄り、話しかけました。案の定、その学生はまだ内定がもらえず、就活を継続しているという4年生でした。実践女子大の学生ではなかったそうですが、「あなたのような人なら、その良さをわかってくれる企業がきっとあります。だからあきらめないで」と励ましたそうです。

 企業に見る目がないのか、彼女が見当違いな方向で就活をしているのか、そこはよくわかりませんが、就活中、しかも、まだ内定がもらえていない焦りと不安のまっただ中でも、お年寄りに自然にやさしくできる、そんな「思いやり」のある学生ならほしいという企業はどこかにきっとあるはずです。
 エントリーシートの自己PR欄、グループディスカッションと、自分の能力や付加価値をアピールするのが就活だと思っている人もいるかもしれません。もちろんコミュニケーション能力が全くないのも困りものですが、大きな企業の採用担当者ほど、「いろんなタイプの人がほしい」と言います。
 自信にあふれ自己主張のうまい学生を採用する一方で、不器用でも愚直で粘り強い学生、あるいは控えめで協調性のある学生も採用するのです。もちろん、他人の立場や思いをおもんぱかれる心のやさしい学生も、ぜひ採用したいでしょう。

 2014年に公開されたドラえもん史上、初めての3D CGアニメーション映画「STAND BY ME ドラえもん」でも「人を思いやる力」の大切さが表現されています。(写真は2月18日発売のブルーレイ・DVD 発売元:小学館(C)2014「STAND BY ME ドラえもん」製作委員会)
 未来ののび太としずかちゃんとの結婚式前夜のシーンです。しずかちゃんがパパに、「わたし不安なの。うまくやっていけるかしら」と気持ちを明かします。勉強もできない、運動も不得意、頼りないのび太との結婚です。不安を感じて当たり前です。
 するとパパはしずかちゃんに、「やれるとも、のび太くんを信じなさい。のび太くんを選んだ君の判断は正しかったと思うよ。あの青年は決して目立った取り柄があるわけじゃない。しかし、人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことが出来る。それが人間にとって一番大事なことなんだからね。彼なら間違いなくきみを幸せにしてくれると、ぼくは信じてるよ。そしてそんな彼を選んだきみを誇りに思ってる。大丈夫、きみの未来は絶対に明るい」

 わーん! ワタクシ、まんまと「ドラ泣き」(←映画の宣伝文句です)させられてしまいました。

 さすが藤子・F・不二雄先生! そして、数ある作品の中から、この部分をチョイスした脚本の山崎貴さん、監督の八木竜一さんに拍手です。ことほどさように「人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことが出来る」感性は大切なのです。(写真の上が山崎さん、下が八木さん)
 今回の話で言いたいことは二つ。自己PRが苦手でも、目立った取り柄がなくても、愛される人はいっぱいいます。一緒に働きたいと思ってくれる人もいるでしょう。アナタにとっての「のび太くんの長所」をさがしてみましょう。大丈夫、きっと見つかります。そしてもう一つ、みなさんの通っている大学のキャリアセンターをフル活用してください。どの就職窓口担当者も、心からみなさんの就活を心配してくれています。みなさんの“就活力”を高めるため、さまざまなセミナーやガイダンスを開いていることでしょう。どうか、積極的に参加してください。さらに、困ったとき、迷ったときには、キャリアセンターを訪ねて個別に相談してみましょう。

 私自身、志望していた業界の選考に落ち続けていたときに「アナタはマスコミに向いている。だまされたと思って受けてみて」と就職窓口の人にアドバイスされ、新聞社、テレビ局を受け始めたら、本当に内定がどんどんもらえた、というウソみたいな本当の話を経験しています。

 みなさんも気づいていない、みなさんのいいところが見つかるかもしれませんよ。