2014年11月11日

NARUTO完結 広がるクールジャパンビジネスだってばよ!

テーマ:文化

ニュースのポイント

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)の人気連載マンガ「NARUTO-ナルト-」(写真©岸本斉史 スコット/集英社)が完結しました。日本文化の海外発信を目指す「クールジャパン」ブームを代表する作品です。クールジャパンは安倍政権も新成長戦略に盛り込むこれから期待の輸出産業。新たな動きも続々出ています。ビジネスの観点からクールジャパンを考えます。

 今日取り上げるのは、1面の「NARUTO 世界が熱狂/連載完結 作者に聞く」と特集面(30面)の「クールジャパン 世界に渦/ビジネス展開 まだまだ余地」です。このほか、2面には作者の岸本斉史さんの「ひと」、31面の特集面にも岸本さんのインタビューが載っています。
 記事の内容は――世界中に熱狂的ファンを持つことで知られる「NARUTO」が15年に及ぶ長期連載に終止符を打った。コミックス単行本は71巻まで出ており、累計発行部数は国内で1億3000万部、全世界では2億部を突破した大ヒット作品。フランス、北米、中国でも人気だ。日本のマンガやアニメが世界で受け入れられた理由について、フランスの関係者は「正義」や「道徳観」をあげる。クールジャパン戦略に関わった元経済産業省の三原龍太郎氏は、マンガもアニメも、日本側が「押し込んだ(プッシュ)」のではなく、インターネットを媒介として「引っ張り込まれた(プル)」ことで広がったと分析。今後は出版社やアニメ会社も国際ビジネスの経験者をそろえ、海外のビジネスパートナーとの連携や流通インフラを広げていくべきだと指摘する。クールジャパンは、戦略と努力次第でさらに大きな波になる可能性を秘めている。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 NARUTOは、主人公の忍者ナルトがライバルとの死闘や過去の因縁を乗り越えて、忍者の里の長・火影(ほかげ)を目指す少年マンガの王道作品です。国内以上に海外、特に欧米での人気が高く、北米での累計発行部数は1200万部、フランスでは1700万部を超えます。テレビ東京系列のアニメも10年以上放送中で、全世界で放映、配信されています。「NARUTO」ゲーム(バンダイナムコゲームス)などのライセンス商品も各国で多数発売されています。みなさんの中にも、マンガやアニメのNARUTOを見て育った人が多いのではないでしょうか。

 NARUTOに代表されるクールジャパンは、アニメ、マンガ、ゲーム、ファッションなど世界から注目を集める日本のポップカルチャーなどのこと。ただ、記事にもあるように、ネットでファンが自然発生的に広めた面が強く、本格的なビジネスチャンスだという意識が高まったのはこの数年のことです。2013年11月には、政府などが出資して主に中小企業の海外展開を支援する官民ファンド「クールジャパン機構」が発足。安倍政権の新成長戦略の国際展開戦略には「日本食や放送コンテンツなどを海外に売り込むクールジャパン推進体制を構築する」と盛り込まれるなど、国家戦略になり、民間の動きも活発化しています。

 この数カ月、朝日新聞には企業が中心になったクールジャパン発信のニュースがたくさん載りました。いくつか紹介します。
◆出版大手KADOKAWAは、マンガやアニメ制作のノウハウを教える学校を台湾とシンガポールに今秋開校する。中国やインドネシアなどに順次拡大し、2016年までにアジアの10の国と地域に設立する。各地でアニメ作家や声優を育成し、クールジャパン戦略を後押しする狙い。(7月3日朝刊)
◆ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)が、「進撃の巨人」「新世紀エヴァンゲリオン」「バイオハザード」「モンスターハンター」をテーマにした新アトラクション「ユニバーサル・クールジャパン」を2015年1~5月の期間限定で開く。世界にファンが多い日本作品をとり入れて国内外からの来場者増を図る。(7月31日朝刊)
◆三越伊勢丹ホールディングスは、日本各地の伝統工芸や地場企業の技術を生かした商品を売る専門店を2015年10月にマレーシアの首都クアラルンプールに開くと発表。クールジャパン機構と10億円ずつ投じ、現地にある自社の店を改装する。(9月26日朝刊)
◆バンダイナムコホールディングスなど3社が日本アニメを海外に配信する新会社を11月に設立すると発表。2012年にアニメ制作企業7社が設立した海外向け配信会社「DAISUKI」と事業を統合しオールジャパンで日本アニメの普及をはかる。クールジャパン機構も出資する。2015年4月から本格的に事業を始める。(10月31日朝刊)
◆吉本興業、電通、ドワンゴ、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)、学校法人滋慶学園グループ、イオンモールの6社は、アジア各国で日本のポップカルチャーなどを売り込む合弁会社「MCIPホールディングス」を設立すると発表。クールジャパン機構も出資。アジアで人気の高いガールズ・カルチャーやアイドル、アニメ、食や伝統文化などを発信。日本のタレントが現地で活動したり、商業施設でイベントや物産展を開いたりすることなどを想定。(同)

 記事からわかるように、クールジャパンには出版、放送、ゲーム、エンターテインメント、アパレル、百貨店、流通、商社、広告など数多くの業界が関わります。志望業界のクールジャパンビジネスの現状を記事で調べたり、今後の可能性を考えたりしてみましょう。

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