ニュースのポイント
NHKの新しい朝ドラ「マッサン」が昨日から始まりました。主人公のモデル・竹鶴政孝(たけづる・まさたか)氏は、サントリー(当時は寿屋)で国内初のウイスキーづくりに携わったあとニッカウヰスキーを創業した人です。長い歴史をもつ両社は、それぞれの手法で国内外で新たな挑戦を始めています。ウイスキーにはあまりなじみがない人、最近のハイボール人気で初めて口にしたという人もいるかもしれませんが、今日は国産ウイスキーの歴史と最新事情をお伝えします。(写真は「マッサン」主演の玉山鉄二さんとシャーロット・ケイト・フォックスさん)
今日取り上げるのは、経済面(9面)の「国内ウイスキー 勝負の秋/サントリー 海外開拓へ釜増設・買収/ニッカ 新商品・朝ドラ追い風」です。
記事の内容は――サントリーホールディングスは、前ローソン会長の新浪剛史氏(55)が社長に就く10月1日付で、蒸留酒事業体制を見直し国産ウイスキーの輸出を加速させる。縮小が続いた国内市場はサントリーが仕掛けた「角ハイボール」のヒットもあって少しずつ回復しているが、伸びる余地が大きいのは海外。海外市場開拓には原酒が足りないため、山梨県の白州蒸留所で33年ぶりに蒸留釜を4基増設した。1兆6000億円で買収した米蒸留酒最大手ビーム社の120カ国に広がる販売網で、サントリーウイスキーを7月から売り始めた。2013年に6000億円だった蒸留酒事業の売上高を2020年に1兆円にする目標を掲げる。
ニッカウヰスキーは新ブランド「ザ・ニッカ」を国内向けに発売。「12年」(税別5000円)と「40年」(同50万円)。創業者の竹鶴政孝、リタ夫妻をモデルにした「マッサン」の効果もあって、主力の「竹鶴」は1~8月の販売量が前年比39%増と好調。竹鶴氏の半生を振り返る催しを全国10カ所の百貨店で開き、ブランドをアピールする。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
「マッサン」見ましたか? 主人公のモデル、竹鶴政孝は大正時代に本場スコットランドでウイスキーづくりを学び、サントリー創業者の鳥井信治郎氏に大阪の山崎蒸留所の工場長に招かれ、国内初のウイスキーをつくりました。10年後の1934(昭和9)年には、気候風土がスコットランドに似ていた北海道・余市(よいち)町に「大日本果汁」を創業します。すぐに売れるジュースを作りながらウイスキーを育てる作戦で、リンゴの産地だった余市を選んだそうです。その後、「大日本果汁=日果」から、社名は「ニッカ」になりました。そのニッカウヰスキーは今年創業80年。国内市場重視の戦略です。
サントリーは今年、一気に世界戦略を加速させました。米ビーム社の巨額買収で、蒸留酒世界3位に。サントリーのビーム社買収については、1月14日の今日の朝刊「サントリーが蒸留酒大手を巨額買収 世界を攻める」、一色清の世の中ウオッチ30回「サントリーがバーボンを買った理由」でも詳しく書いています。まだの人はぜひ読んでください。
今日の記事にも一部出ていますが、サントリーホールディングスは、事業子会社「サントリー酒類」を改組し、「サントリービール」を新設するなど、大きな組織変更をします。どんな意図で何を変えるのか、企業ホームページなどで研究してください。ちなみに、ニッカウヰスキーは2001年にアサヒビールの100%子会社になり、今は独自の採用はしていません。サントリーやキリンも同様ですが、ウイスキー事業に関わりたい人は、まずサントリーホールディングスやアサヒビール、キリンに入社することです。
日本のウイスキーを代表する2社の歴史を知ることは、サントリーやアサヒ、キリンなど大手飲料・食品メーカー志望者には欠かせません。「マッサン」を見ておくと話が広がるかもしれませんね。こうした企業・業界の歴史を踏まえたうえで、新戦略についても研究してください。
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