ニュースのポイント
環境にやさしい新型の「クリーンディーゼル」エンジンを積んだ車が注目されています。マツダが、今の環境基準に対応した国内初の小型ディーゼル車を売り出します。日本では、ディーゼル車は黒い排ガスを出し、エンジン音がうるさいというイメージが強く不人気でしたが、風向きが変わり始め、各メーカーは開発を急ぎ始めました。
今日取り上げるのは、経済面(6面)の「ディーゼル、エコが売り/マツダ、デミオに搭載/環境基準に対応 国内初の小型車/先進の欧州車日本へ」です。
記事の内容は――マツダは全面改良した小型車デミオを発表し予約受付を始めた。ガソリン車に加え、新開発のディーゼルエンジンを積んだ車も出す。国内の年間販売目標6万台のうち半分はディーゼルを見込む。ディーゼル車の燃費は、マニュアル車では1リットルあたり30キロ。
ディーゼルエンジンは、ガソリンに比べ燃費が良く二酸化炭素の排出が少ない。欧州では環境対応や騒音を抑える技術開発が進み、エコカーの一種に数えられている。新車販売に占めるディーゼル車の割合は5割に達するほど。日本では2011年の販売は1万台足らずで、メルセデス・ベンツやBMWなどの高級車、三菱自動車のSUV(スポーツ用多目的者)などに限られていた。だが、マツダが2012年以降にSUVや中型車を投入、2013年には7万6000台に増えた。ガソリン価格が高止まりする中、税金の安い軽油を燃料にしていることも追い風だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
軽油を燃料にするディーゼルは、もともと排気量が同程度のガソリンエンジンより燃費がいいのですが、国内では黒いすすをはき出すイメージが強く、日本のメーカーはハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の開発に力を入れてきました。一方、高速走行が多い欧州ではHVの燃費があまりよくないうえ、HV開発には多額の投資がかかるため、欧州のメーカーが代わりに力を入れたのがディーゼルの改良です。今では「クリーンディーゼル」と呼ばれる環境対応型が主流になり、燃費でもHVと競っています。今だと、ガソリンが1リットル160円前後に対し、軽油は140円前後と、燃料代が安くなるのも消費者にとっては大きな魅力です。
欧州の環境基準が日本並みに厳しくなり、これに適応した欧州メーカーがクリーンディーゼル車を日本市場に投入。ここにきて日本メーカーもようやく力を入れ始めました。今春、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、スズキ、マツダ、三菱自動車、ダイハツ工業、富士重工業の乗用車メーカー8社が「自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)」を立ち上げ、ディーゼルエンジンの性能を上げる技術を一緒に研究すると発表。ライバル同士の異例の「共闘」で先行する欧州勢に対抗する狙いです。2020年までに二酸化炭素の排出を2010年時点より3割減らすのが目標です。
自動車部品大手のデンソーも、ディーゼル車の燃費向上のための部品開発を進めています。自動車関連の業界を目指すみなさんは、HV、EV、燃料電池車(FCV)に加えて、ディーゼル関連の記事で業界の動向をつかんでください。
今日の朝日新聞朝刊は、1面に「吉田調書『命令違反し撤退』報道/本社、記事取り消し謝罪/慰安婦巡る記事 撤回遅れを謝罪」と、木村伊量・朝日新聞社社長のおわびの文章を載せ、多くの面に関連記事を掲載しました。この問題については、ジャーナリストの池上彰さんが9月4日の「新聞ななめ読み」で書いた「新聞記者は、事実の前で謙虚になるべきです。過ちは潔く認め、謝罪する」というご指摘に尽きると考えています。この言葉を胸に刻み、信頼回復に努めていきます。