ニュースのポイント
フィリピンの人口が1億人を超えました。1億超は12カ国目。2017年には人口減少が続く日本を追い越しそうです。「人口爆発」と呼ばれるアフリカ諸国でも人口増が目立ちます。人口が増えるところにはビジネスチャンスがある一方、貧困の拡大など課題も抱えています。
今日取り上げるのは、総合面(2面)の「いちからわかる! フィリピンの人口 1億人を超えたって?」です。
記事の内容は――フィリピン政府は人口が1億人を超えたと発表した。少子高齢化で若い層がしぼんでいる日本と違って働き手が増えるので、高い経済成長が続くと期待されている。一方で貧しい家庭で子どもが増えて、生活がさらに困窮する事態が起きている。2016年にエチオピア、2026年にベトナムが1億を超えそうで、2050年にはコンゴ(旧ザイール)やタンザニアなどが加わり、1億超の人口大国は計19カ国になるとみられる。1900年に16億余だった世界の人口は、1950年に25億人、1987年に50億、現在は70億を超え、国連は2062年に100億人を突破すると予想。アフリカ諸国の増加が目立ち、食糧やエネルギー不足、貧困拡大が心配されている。日本はロシア、ドイツなどとともに人口が減り、少子化対策が進まないと、50年後に1億人を維持するのは難しいと言われている。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
日本の人口減少や少子高齢化の話題はたびたび書いてきましたが、世界の人口はまだまだ増え続けています。中でも最近注目されているのがフィリピン。女性が生涯に出産する子どもの平均数である合計特殊出生率は3.1とアジアでは飛び抜けて高く、日本の1.4の倍以上です。避妊や中絶を禁じるカトリック教徒が多く、子どもを大切にする社会でもあります。
経済も好調で、2012年の国内総生産(GDP)成長率が6.8%。かつて政情不安などで「アジアの病人」とも呼ばれましたが、いまやアジアでトップクラスの伸びです。英国金融大手のHSBCは2012年のリポートで「今後40年間、平均7%成長し、2050年のGDPは世界16位、東南アジア最大の経済大国になる」と予測。2050年の段階で高齢社会(65歳以上の人口比が14%以上)に突入していないアジア唯一の国というのがその根拠とか。
フィリピンの売りは豊富で安価な労働力。経済成長を支えているのが海外への出稼ぎです。1000万人以上が計200カ国・地域で働いています。人口の1割、労働人口の4分の1が海外で働いていることになります。海外からの送金も年々増えて、GDPの1割超。銀行を経由しない現金の持ち込みなどを含めると2割とも3割とも言われています。英語が公用語というのも強みの一つ。近年は、業務を外部委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の拠点としても注目されています。代表格であるコールセンターの売り上げは世界一。主に米国企業が24時間の顧客対応の拠点を置いています。日本人向けの英語学校も急増しています。
ただ、タイやベトナム、インドネシアといった周辺国と異なり、国内に製造業が育っていないのが課題で、だから出稼ぎが増えるという側面もあります。教育や社会基盤の整備も遅れています。それだけに、これから様々な業界の日本企業が進出する余地があるとも言えます。商社はもちろん、まずは製造業やインフラ系の企業、生活レベルがさらに向上してくれば多くの消費財の市場になるでしょう。
人口が増える国は、企業にとって将来の有望な市場です。みなさんが中核となって働いている10年後、フィリピンやアフリカの国とのビジネスに携わっている人がいるかもしれませんね。
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