2014年08月26日

女性が活躍する会社はこれから伸びる⁉

テーマ:経済

ニュースのポイント

 女性の管理職を増やしたり、働く女性の支援サービスを手がけたりするなど、女性を積極的に登用する企業が注目されています。収益力が高く将来性もある傾向が高いとみて、こうした企業の株式をパッケージにして投資の対象にする金融商品も登場しました。志望企業選びの参考にもなりそうです。

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「投信、女性登用に注目/関連の金融商品、相次ぎ発売」です。総合面(4面)には「女性管理職増79%『賛成』/本社世論調査」が、オピニオン面(14面)の社説にも「女性の活躍/働き方全体の見直しを」が出ています。
 記事の内容は――米国系の運用会社BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンは「女性活力日本株ファンド」という投資信託(投信)をつくった。管理職のうち女性が占める割合が平均の7.5%を大きく上回る34%と高い「良品計画」など女性の登用に積極的な企業や、家事や介護を代行する企業など30~60社の株式に投資する。BNYメロンは「管理職に女性が多い企業は人事評価が公平で、良い人材が集まりやすい。業⁉⁉績が伸びやすいというデータもある」という。登用が広がれば、女性が担っていた家事などを請け負う企業の収益も増えるとみる。三井住友アセットマネジメントも今春「なでしこファンド」という投信をつくった。100~150社に投資するもので、投資先には女性管理職の割合が14%の「オリックス」や保育所を運営する「JPホールディングス」などがあり、販売は好調。経済産業省と慶応大学の分析でも、正社員で女性の割合が高いほど収益力が高まるという結果が出ている。経産省と東京証券取引所は、女性の活躍を推進する上場企業「なでしこ銘柄」の公表を始め、2013年度はカルビーや大阪ガスなど26社を選んだ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 女性の登用が注目されるようになった大きなきっかけは、安倍政権が成長戦略の柱に「女性の活躍」を掲げたことです。政府は「指導的地位にある女性が占める割合を2020年に30%にする」との目標を掲げています。背景にあるのは女性管理職の少なさ。日本の就業者に占める女性の比率は4割強で他の主要国とほぼ並んでいますが、管理職は1割に届かず、米国の4割、欧州各国の3割超に比べて極端に少ないのが現状です。朝日新聞の世論調査では、政府の目標に8割近くが「賛成」と答え、世論が支持していることも明らかになりました。

 「女性の登用」そのものをビジネスに活用しようという新しい動きが、今日の記事で取り上げた投資信託です。投信は投資家から集めたお金を一つにまとめて運用し、投資先企業の収益が伸びて株価が上がれば投資家への分配金が増える仕組みです。記事では経団連で女性の活躍推進部会長を務める中川順子・野村ホールディングス執行役員が「(女性が活躍すれば)組織に新しい発想も入ってくるし、イノベーションも生まれる」とも語っています。こうした企業は注目度も高く、株価も上がる可能性が高いと狙いを定めて、新しい金融商品をつくったわけです。

 「女性活力日本株ファンド」の組み入れ上位5銘柄は、良品計画のほか、オリエンタルランド、三菱鉛筆、人材サービスのテンプホールディングス、ドラッグストアチェーンのツルハホールディングスが入っています。

 経産省の「なでしこ銘柄」については昨年10月25日の「女子が働きやすい会社の探し方」でも書きましたが、その後発表された2013年度選定の26社は以下のとおりです。
 国際石油開発帝石、カルビー、東レ、武田薬品工業、ブリヂストン、旭硝子、ジェイエフイーホールディングス、住友金属鉱山、LIXILグループ、IHI、日立製作所、日産自動車、ニコン、トッパン・フォームズ、大阪ガス、東京急行電鉄、日本郵船、ANAホールディングス、KDDI、三菱商事、ローソン、三菱UFJフィナンシャル・グループ、野村ホールディングス、東京海上ホールディングス、オリックス、ツクイ

 男性も無関係ではありません。今日の社説には「(女性の活躍で)先行する企業をみると、女性社員のキャリアを戦略的に考えるとともに、社員全体の働き方を見直す例がめだつ。社員を長時間縛りつけていては、家庭と仕事の両立は難しいからだ」と書かれています。女性が活躍できる企業では、男性も働きやすいということです。男子学生諸君も注目してください。

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