2014年08月27日

日立、東芝、三菱電機、中国のインフラ競う

テーマ:経済

ニュースのポイント

 中国でのインフラ整備事業で、日立製作所、東芝、三菱電機の大手電機メーカーが競っています。大規模な都市開発が相次ぐ巨大市場・中国。そこで住宅や鉄道、電力の仕事に食い込むことが会社の成長のカギを握っているからです。(写真は武漢市で建設中の88階建てビルの完成予想図。三菱電機がエレベーターとエスカレーター計85台を納める=三菱電機提供)

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「都市化する中国 主戦場/電機各社、インフラに軸」です。
 記事の内容は――建設ラッシュの中国ではエレベーター市場も成長が続く。新設数は年約50万台にのぼり、世界の6割を占める。うち三菱電機、日立の2社が30%超のシェアを握り、東芝や欧米のライバルもひしめく。三菱電機は20億円を投じてエレベーターの新工場を上海に建て生産能力を年2万台に倍増させる。経済成長が進む中国ではインフラ事業で巨額の資金が動く。家電事業で稼げなくなった各社は会社全体で家電からインフラへ事業の柱を移し、巨大市場の中国は主戦場となった。最大手の日立は環境や健康医療などの分野で事業を拡大。グループ会社は117社に増え、中国での売上高は1兆円を超えた。ただ、「バブル」との指摘のほか中国の人件費高騰もあり、日本企業の中国での事業展開は「積極的な企業とそうでない企業の二極化が進む」との声もある。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 日本の電機産業は、取り扱う製品によって家庭用の洗濯機や冷蔵庫といった「白物(しろもの)家電」、デジタル機器やAV機器などの「黒物家電」、産業用発電機や変圧器などの「重電機器」に分類されます。ジャンルを問わずに事業展開しているのが「総合電機」メーカーで、日立、東芝、三菱電機が「重電3社」と呼ばれます。これに対し、重電を扱わないパナソニック、ソニー、シャープは「家電3社」と称されます。

 もともとインフラに強い重電3社は、企業向け製品やインフラ部門をさらに強化。日立が今年の3月期決算で過去最高の営業利益を上げるなど、好業績が続いています。好調の最大の要因の一つが中国市場です。日立の中国での売り上げは、日本に次ぐ規模で全世界売り上げの11%を占めます。今日の記事で日立グループ中国総代表の小久保憲一・執行役常務は「もはや日立にとって中国は、切っても切れない関係」とまで言っています。

 中国では今後も、高層ビル用に膨大な数のエレベーターが必要になり、電力、水の供給、鉄道といったインフラ整備が続きます。日本の重電3社の得意分野で、さらに積極的な進出を図るでしょう。日本と中国は政治的には緊張が続いていますが、すでにビジネスではお互いに不可欠な間柄です。インフラは「BtoB(Business to Business)」の事業です。中国では政府や自治体との取引も多いので、数年前に起きた反日デモによる日本製品不買運動などの影響を受けにくい面もありそうです。重電だけでなくエネルギー、機械、プラント、建設など他にもインフラに関わる業界はあります。関心のある業界の中国進出について調べてみましょう。

 記事の最後にある中国経済のバブルが崩壊するのかどうかについては、19日の今日の朝刊「崩壊する?しない? 中国バブル」でも書きましたが、今日の金融情報面(14面)の「経済気象台/北京の青い空」でも両論を紹介しています。参考に読んでみてください。

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