2025年06月02日

銀行と携帯電話業界、接近の目的は「経済圏」づくり 動きに注目を【週間ニュースまとめ5月26日~6月1日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 銀行業界と携帯電話業界に動きが出ています。この週には三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)がインターネット専業の新銀行の設立を含む新たな個人向け金融サービスを発表しました。アプリを刷新し、グループの各サービスを一体で使いやすくします。すでに三井住友FGは傘下の三井住友カードがソフトバンクと提携し、PayPay銀行と連携したサービスを打ち出しています。みずほFGは楽天カードと資本業務提携を結んで一体となったサービスを提供しています。

 この週には、 NTTドコモが住信SBIネット銀行を買収する方針を発表しました。自前の銀行を持っていなかったドコモは、悲願の銀行業参入を果たしたわけです。銀行と携帯大手が提携したり一体となったりする狙いは、自分たちの「経済圏」をつくるためです。銀行は提供するサービスの入り口としてスマホが、携帯大手はサービスの決済として銀行が必要です。その両方がそろえば、さまざまなサービスを抱え込むことができ、顧客の生活全般の面倒を見ることによって利益を得られるというわけです。こうした銀行と携帯電話による経済圏づくりはまだ途上にあるとみられ、今後も動きが予想されます。関心を持つようにしましょう。(ジャーナリスト・一色清)
(写真・新たな総合金融サービス「エムット」を発表する三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長(右から2人目)ら=2025年5月27日/朝日新聞社)

【政治】私的情報の漏洩「斎藤知事の指示の可能性高い」 本人は「認識ない」(5/27.Tue)

 兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題で、県の第三者調査委員会は5月27日、告発者の元西播磨県民局長(故人)の公用パソコンにあった私的情報を県の前総務部長が県議に漏洩(ろうえい)したと認定し、漏洩が「知事及び元副知事の指示のもとに行われた可能性が高い」とする報告書を公表した。斎藤知事は同日、報道陣に「指示したという認識はない」と主張。「漏洩に組織の長として責任を感じる。自らの処分も検討する」とし、給与カットなどを示唆した。

【経済】三菱UFJ、個人向け新サービス「エムット」発表 メガ銀の競争激化(5/27.Tue)

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は5月27日、インターネット専業の新銀行の設立を含む、新たな個人向け金融サービスを発表した。銀行や証券などグループの各サービスを一体で使いやすくし、ポイント還元も拡充する。三井住友FGはソフトバンクとポイント活用などで手を組んでおり、3メガバンクで個人客の囲い込みを激しく競っている。三菱UFJFGはこの日、個人向けの総合金融サービス「エムット」を公表。まず6月2日に三菱UFJ銀行のアプリを刷新し、カードや証券などグループの各サービスの利用状況が分かるようにする。2026年度中を予定する第2弾では、グループ共通で使える「エムットポイント」をつくり、グループ一体で顧客の取り込みを図る。最大の柱はネット専業の銀行の立ち上げだ。

【経済】頭打ちの通信事業、「経済圏」囲い込み競争熱く ドコモも銀行参入へ(5/29.Thu)

 NTTドコモが5月29日、住信SBIネット銀行を買収し、銀行業に参入する考えを発表した。人口減少や格安スマートフォン業者との競争激化で通信事業の成長が頭打ちとなるなか、通信大手各社は金融事業に活路を見いだしてきた。経済圏を広げて利用者を囲い込み、一人からより多くの利益を得るためだ。各社が決済や証券、クレジットカードなどの金融事業を強化している。とりわけ、銀行口座はあらゆる支払いのもとになる重要なピースだ。銀行を中心に証券など他の金融サービスを連携させることで、迅速な手続きや、手数料の低廉化にもつなげられる。通信大手4社のうち、ドコモを除くau(KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルの各社は既に傘下に銀行を抱えている。

【国際】日本産水産物の中国向け輸出、再開で合意 処理水巡り2年間全面停止(5/30.Fri)

 東京電力福島第一原子力発電所からの処理水放出を受け、中国が実施していた日本産水産物の輸入禁止が、解除される見通しになった。農林水産省が5月30日、中国への日本産水産物の輸出再開に向けた手続きを進めることで日中両政府が合意したと発表した。農水省によると、両国の当局が北京で協議し、輸出再開に必要な手続きについて28日に合意した。福島などの10都県を除く、37道府県の水産物が対象となる。

【経済】随意契約の備蓄米、販売スタート 開店前に売り切れ「価格下がって」(5/31.Sat)

 政府が随意契約で売り渡した備蓄米の店頭販売が5月31日から始まった。店舗では開店前からコメを買い求める客が列をなし、すぐに完売した。今後、流通が本格化する見通しで、歴史的な高騰を続けるコメ価格の動向が焦点となる。農林水産省によると、今回放出するのは、2022年産米20万トンと2021年産米10万トン。小泉進次郎農水相は「備蓄米の店頭価格2千円」を掲げ、備蓄米の販売を競争入札から随意契約に切り替えた。大手小売業者の契約には約70社が申請し、審査を通った61社に順次、備蓄米が引き渡される。

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