ニュースのポイント
「キモカワいい」と話題になっているご当地キャラがあります。北海道北斗市の「ずーしーほっきー」。地元特産のほっきずしをモチーフにデザインしたのは、函館市の公立はこだて未来大学の学生たちです。企画、調査、分析、プレゼン……キャラクターづくりの体験には、就活で生かせる要素が盛りだくさんです。
今日取り上げるのは、教育面(34面)の「ご当地キャラ 学生が挑んだ/はこだて未来大×北斗市 『ずーしーほっきー』誕生秘話」です。
記事の内容は――「ずーしーほっきー」は道産米のシャリに特産ホッキ貝をのせたすしのようなキャラクター。昨年末の発表以来、妖怪のような風貌(ふうぼう)からネットを中心に話題を集めています。函館市の隣の北斗市から、はこだて未来大にキャラクターデザイン作成の相談があったのは2012年初冬。北海道新幹線のターミナルとなる新駅ができることが決まり、全国にPRする狙いからだ。同大は2013年度の「教材」にキャラ開発を組み入れ、当時の3年生12人が取り組んだ。ずーしーほっきー誕生後、市のホームページ閲覧数は80倍以上に伸びた。大学の取り組みに詳しい企画会社社員の花岡正樹さんは「フィールドワークやワークショップなど、手間と時間がかけられるのは学生だからこそ」「学生の地域プロデュース力を感じられた」と分析する。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
写真を見てください。たしかに、キモカワいい? うーん、かわいいかなあ……、というのは置いておいて。記事から当時の3年生12人が取り組んだ活動を整理すると――。
【フィールドワーク(調査)】地域を知るため農家や農協、漁協を訪ね、トマト栽培やホッキ突き漁を視察。トマトやホッキ貝を味わい、花見の名所、史跡や高原を巡った。北海道新幹線の学習会も。
【ワークショップ】二つの小学校で一緒にキャラクターを考える。
【デザイン制作】1人5案、計60のアイデアを膨らませ、108体設計。
【意見交換】商工会、農協、漁協、観光協会、中学生と意見交換し5体に絞る。
【分析】熊本の「くまモン」など全国の人気ご当地キャラを「見た目」「性格・生い立ち」「マーケティング」などの観点から分析。「ギャップや意外性があるキャラクターは人気が出る」「動物モチーフは受ける」といった仮説を立て5体のキャラを設定。
【市民公開プレゼン】300人収容の市民ホールで、5体のプレゼンテーション。
【投票】8951票中2914票でずーしーほっきーが1位に。
市の公式キャラクターづくりですから、これはもう立派な「仕事」といってもいいですよね。はこだて未来大では、学生が地域と協力して「世の中に実際に横たわる問題を解決する」という「プロジェクト学習」があり、3年生のほぼ全員がチームに分かれて取り組みます。ほかにも函館市の観光用イカ型ロボット開発、生活習慣病予防のための食生活管理アプリ開発も手がけました。記事にあるように、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力が磨かれ、将来の仕事にもつながる、とても貴重な体験です。
同じような体験学習、フィールドワークをしたことがある、あるいは今取り組んでいるという人は多いのではないでしょうか。机にかじりついての勉強は就活の自己PRにはあまり向きませんが、こうした活動体験は立派なアピールポイントになりますし、エントリーシート(ES)に書き込めるキーワードがたくさんあります。2013年8月22日の今日の朝刊「大学で学んだこと、面接で語れますか?」も読んでみてください。
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