2014年06月20日

ギリシャ戦は勝ち点1 W杯で世界に興味を

テーマ:スポーツ

ニュースのポイント

 サッカー・ワールドカップ(W杯)で日本はギリシャと引き分けました。予選最後のコロンビア戦に決勝トーナメント進出をかけます。せっかくのW杯。日本代表を応援するだけでなく、出場国にも注目し、世界に目を広げましょう。

 今日取り上げるのは、オピニオン面(15面)の「ニューヨークタイムズから/サッカーW杯 学びと幸せくれる場所」です。

 記事は、パリ在住の米国人作家パメラ・ドラッカーマンさんが米紙に掲載したコラムの邦訳です。コラムの概要は――5歳になる双子の息子の話題が、スーパーヒーローからW杯になった。クロアチア人について勉強するという。W杯のとりこになるのと、ヤンキースに夢中になるのは違う。W杯はスポーツだけでなく、世界も味わわせてくれるからだ。自分たちがすべてにおいて一番という米国の通念とは逆に、米国は多くの国のひとつだと知り、他国から学ぶこともできる。決定的に重要なのは、世界中の子どもたちが同じ経験をしていることだ。ブラジルでの64試合は、子どもたちに共通のヒーローや感動的な英雄伝を届けるだろう。サッカーは世界を説明するものではないかもしれないが、世の中を少し幸せな場所にしてくれる。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 日本と同じ1次リーグC組のコートジボワール、ギリシャ、コロンビアの国名が毎日のように紙面に載っています。サッカーを離れ、どんな国なのか、国民性、対日感情、日本に住む人たちの声などを取り上げる記事も多くあります。

 コートジボワールはアフリカ大陸の西部、ギニア湾に面する国で、1960年にフランスから独立しました。かつて大量の象牙が売買されたことから国名はフランス語で「象牙海岸」という意味です。北部はイスラム教徒、南部はキリスト教徒が多いという複雑な宗教や民族問題があり、たびたび内戦が起きました。2010年末から翌春にかけては3000人以上と言われる犠牲者が出ました。カカオの生産は世界一です。

 ギリシャは2009年に巨額の財政赤字が発覚したのをきっかけに国内が混乱。ヨーロッパの経済危機の引き金になり、EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)から巨額の融資を受ける代わりに、年金や医療費を削る厳しい緊縮策を強いられています。この間に国内総生産(GDP)が2割以上も減りました。W杯代表チームも、観光客と一緒の普通のホテルに泊まり、練習グラウンドは無料で借りるなど、国の厳しい財政事情が反映しています。

 コロンビアは1960年代から武装ゲリラや麻薬組織による内戦が続き、「麻薬戦争」とも呼ばれる混乱が続き、多くの犠牲者が出ました。2002年以降「ゲリラ掃討作戦」が強化され、近年は大幅に治安が改善され、経済状況も好転しています。コーヒーの栽培が盛んでエメラルドの産出は世界一です。

 開催地ブラジルでは、国民のW杯反対のデモやストライキが続き、連日報道されていましたね。スタジアム建設などに巨額の出費をする一方で、生活は良くならないとして、多くの国民が教育や医療の充実、賃上げを求めています。近年、急激な経済成長を遂げた新興国BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字をとり「ブリックス」と読む)の一つですが、W杯をきっかけに、実情が世界に知られることとなりました。

 商社、観光業、食品業界など、多くの企業が各国と関わっています。調べてみると、志望企業とW杯出場国との意外なつながりが見つかるかもしれませんよ。

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