ニュースのポイント
STAP細胞の論文をめぐり、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダー(30)が記者会見しました。画像の取り違えなどについては「不勉強」「不注意」「未熟」だったと謝罪する一方、STAP細胞の存在は「何度も確認されている真実」と強調しました。
今日取り上げるのは、1面トップの「小保方氏 会見2時間半/『申し訳ない』謝罪/データ示さず疑惑残る」です。
記事の内容は――2時間半に及んだ記者会見で、小保方氏は論文の撤回について「結論が正しい以上、正しい行為ではない」と取り下げない考えを表明した。STAP細胞の有無については「200回以上作製に成功した」と繰り返し強調。存在を示す実験試料を「研究室の中で保存している」と説明したが、具体的な証拠は見せなかった。理研の調査委員会が捏造(ねつぞう)と認定した画像については、正しい画像を提出していると説明したが、画像そのものは示さなかった。
〈解説〉科学の発見は客観的に再現されて初めて認められる。「結果に影響がないので問題ない」との反論は科学者の常識では受け入れがたい。「STAP細胞はあります」「200回以上作った」といくら言葉で繰り返しても、科学的根拠がなければ単なる主張になってしまう。一方、「不正」を認定した理研の調査委員会にも問題があり、拙速な結論が混乱を拡大させた。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
小保方さんの記者会見を見ながら、私は採用試験での面接を思い浮かべていました。
「私はリーダーシップがあります。サークルの副部長として……」「具体的にはいつどんな局面でリーダーシップを発揮しましたか?」「えーっと、それはちょっと」と言葉に詰まる。面接でよくあるケースです。
「私は粘り強い性格です」「行動力は誰にも負けません」。言葉では誰でも言うことができます。でも、何回繰り返されても、それだけでは面接官には伝わりません。だから面接では、みなさんの答えを受けて「もっと具体的に」「なぜ?」「そのときあなたは?」と、どんどん突っ込んで聞いていきます。掘り下げて聞くことで、言葉が本物かどうかを確かめるためです。これに対し、みなさんは過去の出来事やそのときの自分の行動、思いを語り、「粘り強い性格」の根拠を示せばいいのです。面接では科学的証明までは求められませんが、面接官に納得してもらえるエピソードを語れるかどうかが勝負です。
小保方さんのSTAP細胞論文の問題はいま最大級の話題です。ときに涙を浮かべて反論した小保方さんの訴え方に共感した人も、疑問を感じた人もいるでしょう。さらにこの問題は、日本の研究体制、若手研究者の育て方、理研など研究機関のチェック体制、組織論、科学者のモラルなどさまざまな視点から論じることができます。面接で「STAP細胞の問題についてどう思いますか?」という質問されるかもしれません。自分なりの視点で語れるように考えておきましょう。
STAP細胞については、1月30日の今日の朝刊「新万能細胞『STAP細胞』30歳女性研究者が大発見!」でも書きました。万能細胞の基本的な仕組みを説明しています。
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