2014年04月07日

「世論調査」って知ってる?

テーマ:社会

ニュースのポイント

 朝日新聞社が憲法に関する世論調査を行いました。安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認については反対が63%、憲法9条については「変えない方がよい」が64%と多数を占めました。世論調査の結果は、政権の政策に大きな影響を与えることがあります。みなさんも、それぞれの問題について考えてみてください。

 今日取り上げるのは1面の「集団的自衛権、行使容認反対 63%/昨年より増加/本社世論調査」です。3面に関連記事、10、11面には詳しい調査結果が載っています。
 記事の内容は――朝日新聞社の全国郵送世論調査によると、集団的自衛権について「行使できない立場を堅持する」が昨年の調査の56%から63%に増え、「行使できるようにする」の29%を大きく上回った。憲法9条を「変えない方がよい」も昨年の52%から64%に増え、「変える方がよい」29%との差を広げるなど、平和志向が高まっている。武器輸出の拡大に反対が71%→77%、非核三原則を「維持すべきだ」は77%→82%、自衛隊の国防軍化に反対も62%→68%と増えた。これらの項目は昨年3~4月の調査と方法も質問文も同じだが、有権者が1年足らずの間に軍事力強化に対する不安を強めている様子がうかがえる。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 新聞やテレビ局は毎月のように世論調査を行っています。社会的な問題や政治的な争点、政策について、人々の意見や意識を明らかにするために行う統計的な調査です。中央省庁などの行政機関も国民の意識を探るために実施しています。朝日新聞社には世論調査部という部署があり、ほぼ毎月行う定例調査のほかに特定のテーマについて随時実施します。報道機関の調査の多くは、電話、訪問、郵送が主流です。調査結果が特定の年齢層や性別、地域に偏らず全国の縮図になるように、今回は役所の選挙人名簿から投票区ごとに一定の人数を選び郵送で行いました。最近はコンピューターで無作為に作成した電話番号にかける手法が多くなっています。2000~3000人前後にアプローチして、1000人~2000人ほどの方から回答を得るケースが多いのですが、衆院総選挙や参院選の前には10万~20万人を対象にした大規模調査で選挙結果を占います。

 世論調査でよく目にするのが「内閣支持率」ですね。選挙を受けて発足した内閣を、いま何割の人が支持しているのかを知ることができます。直近1~2カ月の内閣の通知表のようなものです。今回の朝日の調査では、安倍内閣を「支持する」52%、「支持しない」39%で、歴代内閣でも高い支持率を維持しています。30%を割ると「危険ライン」とも言われ、過去には支持率下落で退陣に追い込まれた内閣もあります。

 今回の調査結果をどうみたらよいのでしょう。内閣支持率は比較的高いのに、安倍首相が進めようとしている安全保障政策は支持されていないことがわかります。3面のグラフにあるように、安倍政権に積極的に進めて欲しい政策(三つまで選択)では、「景気・雇用対策」73%、「社会保障の充実」62%と高い一方、「集団的自衛権の行使容認」は6%しかありませんでした。集団的自衛権の行使は安倍首相の長年訴えている政策ですが、多くの国民はこの点は支持せず、景気対策などに大きな期待を寄せているわけです。この結果を、安倍首相や自民党をはじめとする国会議員たちがどう考え、どう行動するか。それによって政治は動き、国の方向が決まっていきます。

 11面には調査の「質問と回答」が載っています。それぞれの問いに対して、あなたならどう回答するか考えてみましょう。世の中の問題について考えて、自分の意見を持つ。それも就活で求められている力です。

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