ニュースのポイント
橋下徹前大阪市長の辞職に伴う出直し市長選が告示され、4人が立候補しました。橋下氏が掲げる「大阪都構想」をめぐる対立がきっかけですが、自民、民主などの主要政党は候補者を立てていません。そもそもどうして市長選をするの? 橋下氏が掲げる「大阪都構想」って何?
今日取り上げるのは、総合面(2面)の「ニュースがわかる!/橋本氏の『大阪都構想』 大阪市なくす目的は?」です。同じ面に「時時刻刻/大阪市長選 4氏立候補/出直し選 肩すかし/主要政党 擁立避ける」も載っています。
記事の内容は――9日に告示された出直し大阪市長選で「大阪都構想」がまた話題になっている。大阪市をなくして複数の特別区に分割する構想で、橋下前大阪市長が提唱している。人口260万人超の大きな大阪市の仕事を五つの特別区に分割。医療、福祉、教育といった住民サービスに専念させることで地域にあったサービスを提供し、成長戦略など大きな仕事は都に一本化し無駄をなくそうという狙いだ。ただ、市役所を五つの区役所に分割するため、職員数や五つの区議会の定数を今より増やさなければならないかもしれず、経費もかかる。市営地下鉄やごみ収集事業の民営化、府と市の施設統合などでお金を生み出そうとしているが、特別区に移行してから7年間は財政収支が赤字になるといわれる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
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今回の大阪市長選は注目すべき選挙です。ただ何のための選挙なのか、何が争点なのか、わかりにくいですよね。今日の記事は、その構図、経緯、背景などをまとめています。この機会に、基本的なことだけは押さえておきましょう。
2008年に大阪府知事になった橋下氏は、大阪府の中に権限が大きい大阪市があって「二重行政」による無駄が多いとして、2010年に東京都に似た仕組みに作り替える大阪都構想を打ち出しました。これを実現するため、2011年に知事を辞めて大阪市長選に立候補して当選。2012年には大阪市に特別区を設けるための法律を成立させましたが、都構想の具体的な内容を詰めるための「法定協議会」の話し合いは自民、公明、民主、共産各党などの反対で決裂しました。そこで橋下氏は「大阪都構想がダメなら選挙で落として」と出直し市長選に臨みました。再選すれば、他党の反対を押し切って議論を進める考えです。
ただ橋下氏が再選しても、市議会の構成は変わりません。自民、公明、民主、公明の4党は「大義のない選挙」として、対抗馬を立てませんでした。世論調査では都構想に反対する意見が賛成を上回っていますが、橋下氏の支持率は50%近くあるので、候補者を立てても「勝てるわけがない」(民主党幹部)というのが本音です。各党は低投票率や大量の白票が出て「橋下氏は民意を得ていない」という結果が出ることに期待している状況です。このため橋下氏が再選を果たしても、大阪都構想をめぐっては混乱が予想されます。
一方で大阪都構想は、大阪市のような政令指定市のあり方についての問題提起になりました。いま政令指定市は全国に20市。指定市と道府県の間で仕事が重複する二重行政は大阪だけの問題ではなく、地方自治を司る総務省も無駄の解消を目指して議論を始めています。地方自治や政令指定市などについて、これからの面接やグループディスカッションで意見を求められることがあるかもしれません。今日の記事や、選挙の結果、その後の展開を注目してください。
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