2014年03月11日

キリン、トヨタ、三菱商事…企業の被災地支援は今

テーマ:経済

ニュースのポイント

 東日本大震災から今日で丸3年が経ちました。多くの企業が被災地を支援していますが、その取り組みは当初の「復旧」から、「自立」への手助けに軸足が移っています。

 今日取り上げるのは、経済面(9面)の「企業の支援、自立に軸足/震災3年 被災地を後押し/商品開発にノウハウ/販売用に衣服を寄付」です。
 記事の内容は――飲料大手キリングループは、宮城県気仙沼市の食品会社など4社によるカキやサンマを使った特製スープ開発を支援している。2000万円を助成し市場調査に協力するほか、商品企画、流通、販売のノウハウを提供。グループの飲食店で提供することも検討する。キリンは2011年7月から被災地支援を始め、農業や水産業の復興支援に3年間で60億円を出すことを決めた。12年までは重機や冷蔵倉庫など「ハード」の整備が中心だったが、13年からソフト面の支援に軸足を移した。丸井グループは大震災直後から衣服を被災者に無償配布してきたが、昨春からは宮城の商店街の衣料品店に寄付し地元で売ってもらう方法に切り替えた。石油大手JXホールディングスは女子バスケットチームOGが宮城県の子どもたちを指導するボランティアを実施した。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 記事に登場するのは3社ですが、他にも一覧表でトヨタ自動車、三菱自動車、セブン&アイ・ホールディングス、アスクル、三菱商事、楽天、ソフトバンク、東京ガスの被災地支援を紹介しています。支援の中身は、子ども向けイベント開催や託児ボランティア、高校生の米国留学プログラム実施など、実に多彩です。

 中でも、キリンやセブン&アイ・ホールディングスの食品会社支援、丸井の衣服関連の活動、アスクルの子どもが描いた絵をデザインした消しゴム販売などは、各社の得意分野を生かした、その企業ならではの支援です。記事には、キリンビールマーケティングの宮城支社長の「地域が元気になり、我が社のビジネスにもプラスになる好循環をめざしていく」というコメントが載っています。被災地の企業が利益を上げれば地域の活性化につながりますし、支援する側の企業の本業にメリットを生んだり、利益につながったりすれば、支援そのものが長続きします。一つの理想型でしょう。こんな支援がさらに広がってほしいものです。

 今日の朝刊の12面には、「未来に向けて」と題する広告特集紙面があります。朝日新聞社と三菱商事が主催した「復興支援音楽祭 歌の絆プロジェクト」、三井物産が「三井物産の森」の木材を使って建設し寄贈した岩手県の子ども図書館「にじのライブラリー」のほか、エンジニアリングメーカー・エスイー、王子ネピア、クオカード、住友化学などの復興支援活動を紹介しています。

 被災地で支援活動をする企業は他にもたくさんあります。熱心な企業はホームページで取り組みを紹介しています。企業研究の一つとして、志望する企業の復興支援を確認してみましょう。取り組み方、支援内容から、企業の志や社会との関わり方などが見えてきます。さらに、ESに自らのボランティア体験など被災地との関わりを書いている人も多いと思います。志望する企業で、その体験をビジネスとしてどう生かせるかも考えてみると、差が付きますよ。

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