2014年03月07日

大震災から3年…通信3社やコカ・コーラが災害対策強化

テーマ:経済

ニュースのポイント

 東日本大震災から11日で3年。あの日を教訓に、災害対策を強化している企業があります。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話3社は、災害時に情報を伝えるライフラインが確保できるよう万全の体制づくりを目指しています。日本コカ・コーラが開発した災害に強い自動販売機の記事も紹介します。

 今日取り上げるのは、経済面(6面)の「災害時通信 陸海空から 携帯大手、船・気球を活用/自衛隊と合同訓練も」です。
 記事の内容は――2011年3月の大震災で電波が止まった携帯基地局は、ドコモ約6700局、auとソフトバンクはそれぞれ3700~3800局にのぼり、通信網の断絶は多くの現場で混乱をもたらした。これを教訓に3社は停電でも使える基地局を増やすほか、全国の主要拠点を結ぶ基幹ネットワークの増強を進めてきた。NTTグループは陸上自衛隊と共同で、衛星通信機器、公衆電話、携帯基地局設置などの訓練を実施。auは海から通信網を復旧させようと船舶型の基地局実用化を目指す。太陽電池や蓄電池を持つ「トライブリッド基地局」も100カ所に配備した。ソフトバンクは移動型の基地局車両を全国に100台、持ち運びができる基地局200台、気球型基地局10基を導入し機動性を打ち出す。各社は、基地局修理に備え各方面の自衛隊と災害時の協定を結ぶなど関係を強化している。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 大震災は企業にさまざまな教訓を残しました。いまだに原発事故の対応に追われる電気などのエネルギー産業をはじめ、運輸、交通、通信といったインフラを担う業界では、震災を機に災害への備えを見直しています。大手通信3社に限らず、インフラやライフラインを担う企業が震災時にどう対応をしたのか、その後どんな対策をしてきたのか、調べてみましょう。企業ホームページの「沿革」を見たり、図書館で朝日新聞記事データベース「聞蔵Ⅱビジュアル」で検索したりしてみましょう。企業研究が深まります。

 4日の朝刊には、国内の自販機シェアの4割を占める最大手、日本コカ・コーラが「ピークシフト自販機」を開発した話が載りました。震災で電力不足に陥ったとき自販機は「無駄遣い」との批判にさらされました。とくに真夏の日中に電力消費がピークを迎えるのが問題で、自販機メーカーと協力し断熱性を大幅に高め魔法瓶のように冷気を閉じ込める仕組みを開発しました。夜間に冷却して日中は保冷状態を維持するため夏場の日中消費電力を95%減らすことに成功。年間消費電力量も1割節電できます。100億円以上かけて全国に3万台を設置したそうです。

 自販機は災害時のインフラとしても活躍します。通信ネットワークで遠隔操作をすれば、無料で飲料を取り出せるようになる機種があります。同社は、震災時に首都圏などで約400台を稼働させ、8万8000本以上を無料で提供しました。こうした災害対応型自販機は、1995年の阪神大震災をきっかけに大塚製薬が開発し、2001年に横浜市内の中学校に設けたのが「業界初」と言われ、その後全国に広まりました。

 日本は自販機の台数では米国に次ぐ2位、総売り上げと国民1人あたりの消費量では「世界一の自販機大国」。飲料の自販機だけで250万台以上ありますから、災害時には大きな役割を果たします。食品・飲料業界志望の人は、こんなことも知っておくと面接で役立つかもしれませんよ。

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