ニュースのポイント
シャープが2015年度入社の採用人数を前年の3倍の300人にすると発表しました。2年連続で巨額の赤字に苦しんできましたが、今年度は「部品メーカー」化することで業績が急回復したためです。ホンダ、ヤマハ発動機も採用を増やす方針です。就活生には明るいニュースです。
今日取り上げるのは、経済面(10面)の「シャープ採用、前年の3倍/15年度新卒/300人計画、業績回復で」です。
記事の内容は――経営再建中のシャープは、2015年度に前年の3倍となる300人の新卒社員を採用する計画を発表した。業績が回復傾向にあり、医療関連事業など、次の成長に必要な新事業を担う人員を増やす計画だ。会社説明会には昨年の2.5倍の学生が集まるなど、学生の反応も上々だという。シャープの採用数のピークは1991年度の2441人。最近の10年間でみると、2009年度に1256人を採用したが、13年3月期には巨額の純損失を2年連続で計上。採用も13年度91人、14年度95人と絞ってきた。15年度は大卒200人、高卒100人の系300人の予定。大卒は技術職130人、営業などの事務職70人。技術では理工系だけでなく医学部や農学部など新事業に必要な知識を持つ学生の採用を増やす。事務職は男女半々。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
シャープは、2013年4~12月の売上高が前年から21%増えて2兆1572億円になりました。営業損益は814億円の黒字で、1662億円の赤字だった前年から大きく好転しました。営業黒字は年間見通しの800億円をすでに超え、見通しを1000億円に上方修正しました。テレビなど自社ブランド製品の販売は伸び悩んでいますが、他社への液晶パネル販売が業績を引っ張りました。液晶テレビで有名な亀山工場(三重県亀山市)でつくる主力製品は今、韓国サムスン電子など他社向けの液晶パネルです。とくに米アップルのiPhoneなど、スマホ向けの小さなパネル生産が増えました。昨秋には、縦横2メートルを超える大型のガラス基板から、数百枚のスマホ向け高精細パネル「IGZO(イグゾー)」をつくる大量生産をスタートし、中国のスマホメーカーへ売り始めました。スマホ用にすると、基板ガラス1枚あたりの売上高は、テレビ用の約5倍になるといいます。「部品メーカー」色を強めることで業績改善を果たした形です。部品の売上高は8513億円と前年同期を3割ほど上回りました。売上高に占める部品事業の比率は2009年3月期の28%から、14年3月期には38%まで拡大する見通しです。
シャープのほかに好業績で採用を増やすケースでは、ホンダが今春より1割近く増やして595人、ヤマハ発動機は4割以上増やし240人とすると発表しています。トヨタ自動車は前年とほぼ同数の1350人と発表しました。
完成品と違い、部品メーカーは普通に生活していても目に付きませんが、スマホや自動車には多くの企業が関わっています。部品メーカーにも目を向けましょう。その企業がどんな分野に力を入れているのか、新聞記事などで最新の情報を調べて、採用選考に臨みましょう。
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