ニュースのポイント
米国と中国――2大国の関係に世界が注目しています。最近は「新型大国関係」という呼び方をするようになりました。米中関係は世界の政治経済の枠組みを左右します。とりわけ日本は大きな影響を受け、みなさんがめざす企業のビジネスにも波及します。最新の世界の構造を理解しておきましょう。
今日取り上げるのは、総合面(4面)の「新型大国関係『米中、衝突避ける挑戦』/スタインバーグ前米国務副長官」と、国際面(12面)の「米がめざす対中政策」です。
記事の内容は――米中が模索する「新型大国関係」について、米オバマ政権で対中政策立案の中心的役割を果たしたスタインバーグ前米国務副長官がインタビューに応じ、決定的な対決を避けようとする両国の試みは正しいとしつつ、相互に不信感があり、「長期的な戦略に基づく変化の兆候なら非常に危険」と強調した。
アジア太平洋地域で防空圏の設定などの動きを活発化する中国に対し、アジア重視を掲げる米国は「ノー」を突きつける。ただ、世界規模の問題を解決するには中国の協力が欠かせない。米国は、中国との経済関係を維持しつつ日本や東南アジア諸国との同盟・友好関係を強化するという難しいかじ取りを迫られている。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
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第2次世界大戦後の世界の「枠組み」をおさらいします。主役は、米国とソビエト連邦(現ロシア)です。米国を中心とする資本主義(西側)陣営と、ソ連を中心とする共産主義(東側)陣営が対立する一触即発の東西冷戦時代が長く続きました。1991年にソ連が崩壊し、米国が「唯一の超大国」として世界に君臨します。2003年のイラク戦争などを機に米国の影響力は低下。一方で中国、インドなどの新興国が台頭し「多極化」が進みました。2010年に日本を抜いて世界2位の経済大国になった中国が軍備も急激に増強し、米国と並び立つ時代となりました。
米中2大国による新たな関係は、当初、主要国首脳会議「G8(ジー・エイト、Gはグループの略)サミット」などになぞらえて、米中2大国による「G2」時代と呼ばれることもありましたが、中国が2012年に「新型大国関係」のスローガンを提起。米国も昨秋からこの言葉を使い始めました。当面は、「新型大国関係」が、米中両国による世界の新秩序のキーワードになりそうです。
日本にとって米国は同盟国であり安全保障上の後ろ盾です。一方で中国は隣の大国であり、最大の貿易相手国です。米中関係の行方は、あらゆる業界のビジネスに影響します。今後の新聞記事に注目してください。
そんなときに、肝心の日米関係がきしんでいます。安倍首相の靖国神社参拝を米政府が「失望」と批判したことに、安倍首相の側近が米側に「失望した」と応酬しました。今日の1面トップの「時時刻刻/『失望』の応酬 きしむ日米」も読んでみてください。
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