2014年02月14日

企業目線で考えよう!大手菓子メーカーが仕掛けたバレンタインデー

テーマ:社会

ニュースのポイント

 今日はバレンタインデー。女性が男性にチョコレートを贈るのは、日本の菓子メーカーが考え出した販売戦略です。メーカーだけでなく、百貨店、スーパー、コンビニなどの小売業も毎年あの手この手のキャンペーンを展開しています。今日は、「企業目線」でバレンタインデーを考えてみましょう。

 今日取り上げるのは、1面のコラム「天声人語」です。国際面(12面)の「特派員メモ/テルニ(イタリア) 世界の愛の中心」にもバレンタインデーの話題が出ています。
 天声人語の最終段落、バレンタインデーに触れた部分を抜粋すると――近年は、「本命」や「義理」のほかに「自分へのご褒美チョコ」なるものが勢力拡大中らしい。寒暑に負けずに頑張る身を自らねぎらう。それもいい。春待つ一日によく似合う。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 バレンタインデーはもともと恋人や夫婦が贈り物をしてお互いの愛を確かめ合う欧米の習慣。これをチョコレートと結びつけたのは日本の菓子メーカーです。日本で最初にバレンタインデーを紹介したのは洋菓子のモロゾフ(神戸市)だといわれています。1936年に英字紙に「バレンタインにモロゾフのチョコレートを贈りましょう」という広告を出しました。日本人向け商戦は戦後になってからで、1956年に不二家がキャンペーン。58年にはメリーチョコレート(東京・大田区)が伊勢丹新宿本店でフェアを開きますが、売り上げは板チョコ3枚、150円だったそうです。60年には森永製菓もキャンペーンを展開。このころから「女性自身」(光文社)などが「女性の告白の日」としてバレンタインデー特集を毎年組むようになり、大手菓子メーカーが本格参戦し広がっていきました。メーカーが仕掛けてマスコミが広めたわけですね。贈られたら「お返し」です。全国飴菓子工業組合が3月14日をホワイトデーと名付け、80年代からキャンペーンをはじめ、こちらも定着しました。

 07~08年に森永製菓が消費者の意識調査をしたところ、「異性への愛」だけでなく「感謝」や「友情」などの気持ちを込めて贈る人が多くなっていることがわかりました。「自分チョコ」や「友チョコ」ですね。この調査で9割の女性が「男性からチョコをもらいたい」と答えたことから、同社は09年に「逆チョコ」を提案しましたが、これはあまり広まっていないようですね。

 いま東京駅の地下街には期間限定の「義理チョコショップ」が出店しています(16日まで)。1個30円のチョコレート菓子「ブラックサンダー」をつくっている有楽製菓(東京・小平市)が「一目で義理とわかるチョコ」と位置づけて、学校や職場でのコミュニケーションを深める手段として、義理チョコ文化を応援しているそうです。本命チョコ、義理チョコ、自分チョコ、友チョコ……。メーカーが仕掛けたものもあれば、消費者の間で生まれて広まったものもあります。ほかにも、チョコだけでなくケーキやアイスクリームを楽しむ「スイーツの祭典」にしようとする百貨店があったり、花屋さんの業界は男性が女性に花を贈る「フラワーバレンタイン」の習慣を広めようとしたり……。メーカーや小売業界は、消費者の意識を探り、さまざまな工夫をしながら市場を開拓していることがわかります。

 バレンタインデーだけではありません。クリスマスに父の日、母の日、ひな祭……と一年中いろんなイベントで多くの企業が戦略を練っているのです。みなさんも、あま~いチョコを味わったあとは、「企業目線」を意識して、自分だったらどんな記念日にどんな商品を売ろうか、などと作戦を考えてみてはどうでしょう。ESや面接で生かせるかもしれません。

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