ニュースのポイント
「ビットコイン」って知っていますか? ネット上で流通する仮想通貨ですが、本物のお金の代わりに使われはじめ話題になっています。米国などを中心に普及していて、今後、世界中で急速に広まるかもしれません。新しく話題になっている言葉を新聞で見つけたら、最低限、その意味や課題を押さえておくようにしましょう。
今日取り上げるのは、オピニオン面(16面)の社説「ビットコイン/『お金の未来』に備えを」と、科学面(30面)の「仮想通貨 全利用者が後ろ盾/『ビットコイン』鍵はネット技術」です。
社説の内容は――通貨危機などで普通のお金の信頼が揺らぐなか、「ビットコイン」と呼ばれるネット上の「お金」が広がっている。各国政府の関与が及ばない「ネット通貨圏」ができるかもしれない。ビットコインには特定の発行者がおらず、法的根拠も裏付け資産もなく、ネット上で多くの利用者に分散管理されている。利用者には送金の手数料がほとんどかからないなどの利点があり、匿名性が高い。昨年から世界で利用が増えたが、対ドル相場は1年足らずで100倍超に急騰しその後急落した。全体の時価は総額1兆円程度。投機の対象になったり、犯罪に使われたり、問題にもなっている。国境のないネット上の取引には、各国が協調して対応する必要がある。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
昨年秋の朝日新聞社の入社試験。記者部門の小論文のテーマは「デジタルデバイド(パソコンやインターネットを使いこなす人と使えない人の情報格差)」でしたが、「言葉の意味がわからず、全然書けませんでした」と言う学生がいました。たしかに意味がわからなければ書けませんよね。就活では、世の中で話題になっている言葉について問われる機会が多くあります。小論文や作文のテーマ、筆記試験の時事問題、グループディスカッションのテーマのほか、面接でも聞かれるかもしれません。いきなり「最近話題になっているビットコインについてどう思いますか?」という質問が飛んできたら答えられますか? 多くの企業は、売れる商品やサービスを開発するために世の中の潮流や流行を追っています。だから、常にアンテナを張っている感度のいい人を欲しがります。世の中に関心がある人かあまりない人か、確かめるためにこんな質問をするのです。
ビットコインについては詳しくは今日の2本の記事を読んでほしいのですが、基本的な点だけをまとめます。
【誕生】2008年にネットで発表された論文で仕組みが提唱され、おもしろがった人たちが実現した。論文の著者「サトシ・ナカモト」が誰なのかは不明。
【利用法】ネット上の取引サイトに円などの実際のお金を送金しビットコインと交換。ビットコインを受け取った人(お店など)は取引サイトで円などに換金する。
【広がり】主にネット通販の決済や送金で使われる。米国では飲食店などでも利用できる店が増えている。日本ではまだ利用できる店やサービスは十数カ所といわれる。
【相場】昨秋まで1BTC=1万円台だったが、投機の対象になり昨年12月には約12万円に高騰。その後急落して今は5~6万円程度。
【利用者のメリット】金融機関などが介在しないため、決済や送金に手数料がほとんどかからない。
【課題】政府や中央銀行が発行しているわけではないため価値が乱高下(らんこうげ)しやすく、投機の対象になりやすい。匿名性が高く、米国ではマネーロンダリング(資金洗浄)など違法な取引に利用される例が出た。
【各国の対応】昨年12月に中国がビットコインの決済を禁止し暴落した。ロシアも禁止。米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)のバーナンキ前議長は「長期的に有望」と語り、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は「大いに関心をもつ」と発言した。
就活で押さえておきたい基本的な時事用語を知るには、「朝日キーワード2015」「朝日キーワード 就職2015」「朝日新聞 必読ニュース2013年版」などがお薦めです。ただビットコインが話題になったのは昨年夏以降なので、これらの本には載っていません。最新の言葉は毎日の新聞でチェックするのが一番です。
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