2013年11月19日

はき違えるな!「三井物産の森」で考える社会貢献とビジネス

テーマ:環境・エネルギー

ニュースのポイント

 三井物産が、朝日新聞社の環境教育プロジェクト「地球教室」で、「森の課外授業」を行いました。同社は国内に広大な社有林を持っています。社会貢献事業の意味合いが強いのですが、収益生を高める試みにも取り組んでいます。今日は、企業の社会貢献とビジネスについて考えます。

 今日取り上げるのは、7面の広告特集「地球教室×三井物産の森/紙上採録 森の課外授業」です。「地球教室」は、子どもたちが楽しく学び、地球のために自ら進んで行動してくれるような教育をめざして2008年に始めた環境教育プロジェクト。朝日新聞社が独自に作成した教材(無料)を配布するほか、環境に関するイベントや出張授業の開催、子どもたちがつくる新聞や作文募集などの参加型プログラムを展開し、全国各地の小学校で取り入れられています。今年度は、旭化成、ロッテ、菅公学制服、三井物産に特別協賛していただいています。今回は、10月に三井物産が持つ千葉県君津市の亀山山林で開かれた親子対象の課外授業の様子を紹介。子どもたちは、のこぎりを手に木を切り倒し、指導員から間伐の意味を聞き、森を歩いて森林を守りながら活用することの大切さを学びました。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 三井物産は全国74カ所に社有林を持っています。その面積は合計約4万4000ヘクタール。社有林としては3位の広さで、日本の国土の約0.1%にあたります。1位は王子製紙の約19万ヘクタール、2位は日本製紙グループ本社の約9万ヘクタールです。両社は製紙原料のためですが、三井物産は1909年に林業に進出し山林を買い、主に住宅建材向けに出荷してきました。ところが1960年代に木材の輸入が自由化されると、安い輸入材に比べてコストが高い国内財の需要は急減。それでも各社は環境保全の観点から社有林を持ち続け、社会貢献事業であるCSR(企業の社会的責任、Corporate Social Responsibility)の一環として、森林を維持してきました。

 CSRは「企業は利益を追求するだけでなく、地球環境、地域社会、倫理などの面からも、社会に貢献していくべきだ」という考え方で、具体的には地球環境保護、ボランティア活動支援、積極的な情報開示、消費者への誠実な対応、従業員の職場環境の改善などがあります。いまや多くの企業がCSR専門の部局を設けて積極的に取り組んでいます。

 最近、志望理由に「社会貢献」を挙げる学生が多くいます。とてもよいことですが、企業にとって何より大事なのは利益を上げることであり、利益あってこその社会貢献です。エントリーシートや面接で「御社で社会貢献したい」「CSR部門で夢を実現したい」というだけの学生を採用する会社はまずないと思ってください。実際、三井物産、王子製紙、日本製紙の3社とも、間伐材を使ったバイオ燃料開発など、森林事業の収益性を高める取り組みも進めています。利益追求という企業の本質を理解したうえで、その会社のCSRへの共感を示したり、社会貢献とビジネスをつなぐアイデアを提案したりすれば、あなたの思いはきっと伝わります。

※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。

アーカイブ

テーマ別

月別