(写真・調査報告書を公表する(前列左から)第三者委員会の五味祐子委員、竹内朗委員長、山口利昭委員=2025年3月31日/写真はすべて朝日新聞社)
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(写真・調査報告書を公表する(前列左から)第三者委員会の五味祐子委員、竹内朗委員長、山口利昭委員=2025年3月31日/写真はすべて朝日新聞社)
トラブルの前には数回食事しただけ
報告書に沿って、問題の発端となったトラブルの内容についてポイントを説明します。トラブルがあったのは2023年6月2日のことでした。
・被害を受けたのはフジテレビの元アナウンサーの女性(報告書では「A」)です。女性Aは2021年に、中居氏らが出演する有名番組をチーフプロデューサーなどとして手がけるフジテレビ社員(報告書では「B氏」)との仕事がきっかけでB氏を含む数人と食事をし、B氏とLINEの交換をしました。
・2021年12月にB氏は女性Aを、B氏と中居氏、他のタレントも参加する飲み会に誘いました。そこにはほかの女性アナウンサー数名もいて、場所は外資系ホテルのスイートルームだったそうです。女性Aはこの日は1時間半ほどいて退出しました。B氏はこのあと何度か女性Aを中居氏も参加する飲み会に誘っていますが、女性Aは仕事や体調の都合で断っています。
・被害があった日の3日前、中居氏は先輩タレント2人と計画していたゴルフが悪天候でキャンセルになったためバーベキュー(BBQ)の会を企画、B氏にフジテレビの女性アナウンサーを参加させる手配を依頼し、B氏は女性Aともうひとりのアナウンサーを誘って参加しました。場所は中居氏が所有しゲストルームのように使っているマンションでしたが、女性Aは中居氏が住んでいる場所ではなく、打ち上げなどが行われる場所と説明を受けていました。また女性AはB氏から会食について「仕事でプラスになる」という説明を受けていたそうです。この日女性Aは中居氏と連絡先の携帯電話番号を交換しましたが、中居氏は自分の親と同年代でMCとしての仕事ぶりは尊敬していたため、特に連絡先の交換に不安はなかったと述べています。またB氏も、中居氏からも女性Aからも相互に恋愛感情を持っている様子はなかったと証言しています。
(写真・フジテレビ本社=2025年3月31日)
「断ったら仕事に影響が出るのではないか」と感じやむなく
「仕事上つきあいのある芸能界の大御所からそう(会食の提案を)言われたら、今夜暇だと言ってしまった私は行かざるを得ない。(中略)ここで断ったりしたら仕事に影響が出るのではないか、断ったらそのことがBさんに伝わって番組によばれなくなるのではないか、そんな思いがあって、行きたくはないけど行った、という感じ」
・このあと会食の場で何があったかは、中居氏と女性Aとの間に守秘義務があり中居氏が守秘義務解除に応じなかったことから詳細は明らかになっていません。女性はこの会食のあと食欲不振やうつ症状を伴う重い病状となり、精神科への入院に至っています。第三者委員会は女性Aがフジテレビに対して行った被害申告やこれらの症状、女性Aと中居氏とのショートメールでのやりとりなどから、女性Aが中居氏から「性暴力」を受けたと認定しました。性暴力は、同意のない性的な行為が広く含まれているもので、「性をつかった暴力」全般を指します。
・ただ、当時のフジテレビ社長らはこのトラブルの報告を受けて「プライベートな男女間のトラブル」と即断し、会社の危機管理としての対応をしませんでした。また大きなダメージを負った女性Aの生命を最優先にするという「大方針」を決め、中居氏の番組出演を継続させるという判断に至っています。
(写真・調査報告書を公表した第三者委員会の記者会見=2025年3月31日)
フジテレビは「経営判断の体をなしていない」
・中居氏と女性Aとの間には圧倒的な権力格差があり、女性Aは中居氏からの誘いを断りづらい状況だった
・女性Aが中居氏との食事に同意したのは、大物有名タレントである中居氏の誘いを断ることにより仕事に支障が出ると考えたためで、やむなく断れず行ったに過ぎない
・中居氏と女性Aにトラブルの時までプライベートな関係はなく、女性Aが中居氏との会食を業務の延長線上と考えるのは自然
・フジテレビでは、番組出演タレントとの会合は仕事に役立つとして広く業務として認められており、必要な費用は経費として精算されている
といった要因から、今回の性暴力は「業務の延長線上」であったと結論づけました。経緯の詳細を見ても、中居氏が女性Aと親密な関係にあったとは考えづらく、またその誘い方も最初は複数人での会合をにおわせているなどまじめな誘い方とは思えません。フジテレビは性暴力の事実を認識した時点で女性の立場に立って考えて対応すべきだったところ、実際には女性Aは退職、中居氏は週刊誌でトラブルが報じられるまで番組出演を続けており、第三者委員会では「経営判断の体をなしていない」と厳しく非難しています。また、今回の事案以外にも社員やアナウンサーを性別・年齢・容姿などに着目して取引先の会合に呼んだり、セクハラ行為を伴う飲み会が存在したり、ハラスメント被害が全社的に蔓延していたともしています。問題は根深く、会社全体が生まれ変わったと評価されるまでにはかなりの時間が必要となるでしょう。
(写真・フジテレビの本社ビル)
フジテレビの一件を大きな反面教師に
会社では、さまざまな取引先と一緒に仕事をします。取引の内容によっては、取引先がたくさんサービスや商品を買ってくれているため、こちら側が取引先に気を遣うこともごく普通にあります。また、仕事の延長線上で取引先と会食することも珍しいことではありません。そのようなとき、今回のように取引先がその上下関係を利用して性的な行為を迫ってくる、という危険性も、ないとはいえないのです。女性だけでなく、男性も被害者になりえます。自分が望んでいない行為をされている、と感じたら、それは「人権が侵害されている」という状況なのです。
被害を受けたときはもちろん、今回のように突然1対1で飲みに誘われるなど被害にあうかもしれないという段階でも、なるべく先輩や上司などに相談して対応策や回避策を考えましょう。今回のように会社ぐるみでそういう関係をよしとする風土があると感じられる場合は、そういう会社に長く勤めることはおすすめしません。
また、自分が加害者になってしまう危険性も考えないといけません。「プライベートで恋愛感情があると思っていた」「二人きりで食事してくれたからいいと思った」という言い訳は、相手が望んでいない行為をされたと感じている時点で通用しません。特に取引先や社内の部下、後輩などと人間関係を結ぶときは、自分が相手を傷つけられる立場にいることを理解し、相手の立場を考えて行動することが必須です。いま世界的に、ビジネスをするうえで人権を侵害する、人権に配慮していない企業は市場からの評価が下がるという流れが生まれてきています。フジテレビも今回の報告書で、大きな逆風にさらされることになるでしょう。今回の事件を、今後社会人生活を送っていくうえで大きな反面教師としていただきたいと考えています。
(写真・第三者委員会の報告を受け会見するフジテレビの清水賢治社長=2025年3月31日)
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