2017年07月13日

SNSで拡散したらウソニュースだった!? メディアについて考えよう

テーマ:メディア

ニュースのポイント

 ツイッターやフェイスブックで「へーっ」と思った情報をシェアした後で、捏造(ねつぞう)だったと気づいたことはありませんか? 「フェイクニュース」「ポスト・トゥルース」といった新しい言葉がメディアや報道に関連してよく登場するようになりました。SNSを使う人は、用語の意味やどんなときに使われるのかを知っておきましょう。マスコミ志望者はもっと詳しく知ったうえで、自分の意見を語れるようにしておかなければいけません。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、特集面(18面)の「朝日新聞『報道と人権委員会』 ポスト・トゥルース(脱真実)/フェイクニュースの台頭」です。オピニオン面(17面)の「耕論・メディア真っ二つ?」も関連記事です(いずれも東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)。

フェイクニュース

 それぞれの言葉について、簡単に解説します。
 まず、フェイクニュース(偽ニュース)は、虚偽や虚実ないまぜになった発言、発信のこと。米大統領選の最中に「ローマ法王がトランプ氏支持を表明」などのフェイクニュースが流され、ツイッターやフェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で拡散、結果に影響したと言われています。
 一方で、トランプ大統領は自分に都合の悪い報道があると、「フェイクニュースだ」と断じて非難します。米国を代表する新聞ニューヨーク・タイムズやニュース専門テレビ局のCNNなどをやり玉に挙げています。

ポスト・トゥルース

 ポスト・トゥルースは「脱真実」の意味合いで、真実や事実よりも個人の感情や信念が重視される政治文化の風潮を意味します。事実をもとに大手メディアが発信したリアルニュースより、フェイクニュースのほうが多くの人の感情を動かしたことから、事実かどうかは二の次で、ウソであっても読みたい、見たい情報なら良いという風潮が広がっているといわれます。

オルタナティブ・ファクト

 オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)は、ウソやあいまいな事柄も繰り返して言及することで、「もう一つの事実」になりかねない状況を表す言葉。米大統領就任式の観衆の数が8年前のオバマ氏のときより相当少なかったとの報道に、トランプ氏側は「ウソだ」と決めつけ、「過去最多だった」と主張。根拠のデータをメディアが疑問視すると、政権高官が「オルタナティブ・ファクトだ」と強弁しました。

ファクトチェック

 ファクトチェック(事実の確認)は、フェイクニュースやオルタナティブ・ファクトに対して、欧米のメディアが取り組んだ検証報道。朝日新聞も、政府や安倍首相の発言について、たびたびファクトチェックを実施して記事にしています。

報道の本質は?

 フェイクニュースが拡散する時代ですが、報道やジャーナリストの基本は変わらないと思います。今日の記事から、以下のお二人の意見を参考にしてください。
 長谷部恭男さん(早稲田大学教授)「報道は現実の世界を100%そのまま文章や画像で写しとることはできない。どこを強調するか、どこに光を当てるかは、人によって判断が異なるし、報道される側の受け止め方もいろいろで、万人が納得する報道はない。それでも、やはり真実を目指し、できる限り近づく。逆にいうと、ごまかしをしたり、うそをついたりしないという志だろう。ミスもあるかもしれないが、この志が保たれていれば、報道機関は生き残っていけると、希望を含め考えている」

 今井義典さん(元NHK副会長)「どこで生まれ、育ち、どんな教育を受け、社会観、歴史観、人生観、正義感を持つかはジャーナリスト一人ひとりの個性。取材の全ての根本にある。取材対象の中からあまたの事実を拾い集め、公正さを確かめ、事実を収束させ、真実に迫る。この作業をこつこつ、信念を持ってやることが大事だ」

 SNSとフェイクニュースの問題については、「メディア激変!SNSのニュースを見るとき気をつけること」(5月23日)でも書きました。読んでみてください。

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